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穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

憧れが恋になる

【憧れが恋になる】

テルミット×イェーガー


自分より年下のブリーチングマンであるテルミット、ジョーダン・トレイスの手を見るたびに俺は思う。

「お前の手は…何だ、立派な手だな」

包帯を巻いているジョーダンは視線を手に向けたまま言葉を漏らす。

「そうか?…イェーガー、あんたの手に比べたら俺の手は爆発物や火薬でボロボロだよ。毎日包帯を取り替えないと行けないくらいにはな。…所であんたが医務室に居るなんて珍しいな」

「…あぁ、服用している頭痛薬をドクから受け取ろうと思って来たんだが居ないから待ってるんだ。お前は包帯を取り替えに?」

「まあそうだな、これは俺の日課だからな。イェーガー、あんたとはあまり任務で一緒になる事がないから二人きりってのは珍しいな」

「…そうだな」

工兵である俺は主に人質の防衛作戦などに従事する事が多く、突入作戦などの攻撃を専門とする攻撃チームと手を組む事があまりない。

その中でも特にジョーダンに俺は密かな憧れを抱いていた。自分自身より歳下だが厳格でしっかりと仕事をこなすジョーダンを見ては胸が痛くなる。

…そう、憧れなんかよりも複雑な気持ちなのだ。

「イェーガー、あんた顔が赤いが熱でもあるんじゃないのか?」

「へ…??」

「おでこ出せ、熱があるか確認してやる」

ジョーダンの新しい包帯で綺麗になった手を俺の額に付けて熱を計ろうとした。

「ね、熱なんてねぇっ…」

「だったら顔を赤くするな、俺はFBIの中でもこんな性格だから他の連中の面倒を見てるがあんたを放って置けないんだ、察しろよ…!」

「…だったら手を離してくれ」

「大人しく、体調が悪いと認めたら額から手を離してやる」

「分かった、分かったから…!」

きっとジョーダンは俺がどうして顔を赤くしているかなんて分かっては居ないんだろう。

俺が体調悪いことを認めればジョーダンは潔く手を離し、俺の目を見つめて小さくため息を漏らす。

「…あんた、もう少し食えよ。工兵であったとしても戦場で体力が無いと仲間に迷惑をかけちまうだろう」

「食ってるよ、煩いな…」

「はは、あんた可愛いな」

「お、男に向かって可愛いって馬鹿なのか…?!」

「顔が赤くて怒りっぽくて華奢なイェーガー、あんたが可愛いって言ったんだ。ドクはしばらく戻らないぞ、大人しく寝てろよ、側に居てやる」

「子ども扱いするなっ…」

「確かに俺の方が歳下だ、だけどあんたが心配なんだよ。ほら、一緒に寝てやるから横になれ」

ジョーダンは俺の首手を掴んで無理矢理医務室のベッドに俺と共に潜り込む。

もう全てがぐちゃぐちゃで、よく分からない。頭痛のせいでいつもより思考回路が鈍いのだ。

「寝ろ、あんたが寝付くまで側に居てやるから」

「…お前は…馬鹿だ…」

「体調悪そうなあんたを放って置くほど俺は冷たくはない。…いや、あんただから放って置けないんだ」

「意味が、分からない…」

「今は考えるな、ほら、寝ろ…」

ジョーダンの手が優しく俺を撫でる。心地良い手の体温と彼の匂いに安心したのか睡魔が俺を襲う。

穏やかな温かさに包まれながらゆっくりと意識を手放して行ったのだった。


***


抱き締めながら眠るあんたの華奢な身体に触れながら考えた。

「俺はあんたが好きなんだよ、イェーガー」

眠るあんたには聞こえない、届かない声を己の口から漏らしてイェーガーの頭を撫でて唇に触れる。

憧れなんかよりも複雑な気持ちなんて、とうの昔から自覚して居たんだ。

あんたより歳下で、俺はブリーチングマンだから接点なんか何一つなくて。

だけど俺はあんたに憧れ以上の思いを気がついたら抱いていたんだ。だからこそ俺は…。

 

 

「…触れたくて仕方がない」

眠るあんたの唇にそっと自身の唇を重ねて触れていく。一回だけの戯れだ、今はただ。

今はただ、この歯痒い関係のままでもいい。俺はいつかあんたを自分自身の物にして見せるから。

憧れを凌駕した思いは恋になる。

過去作

【恐怖・真夜中のミッション?】

 

 

レインボー部隊の女性陣の間で流行っているのは少し変わったデザインのヘッドギアだ。

「見て見て、これとか怖くない?!」

ヴァルキリー、ミュート、カベイラは任務帰り、ロッカールームでダンボールの中に入っていたヘッドギアを見つけてそれを手に取り眺めていた。

「…悪趣味だな」

「もう!ミュートったら少しくらい興味持ちなさいよ!ね、カベイラも付けてみなよ?」

「…どう?」

「ぶっ…!ふふ、カベイラ似合い過ぎるんだけど?!夜中に出たら怖いよ〜〜!」

「あら、そう?ヴァルキリーも夜中にそれ被って宿舎の中歩いたらみんな怖がるんじゃない?」

「えー?そうかなー?ミュート、どう思う?」

ヴァルキリーに話を振られたミュートは興味無さげというように二人を見てため息をついた。

「怖いわけ無いだろう、俺たちは特殊部隊だからな。疲れたから部屋に戻る、ちゃんと片付けておけよ?」

「もう!ミュートつまんなーい!」

「もう少し子どもらしい所も見せればいいのに」

「「ねー!」」

ミュートはヴァルキリーとカベイラをロッカールームに残して自身の部屋に戻っていった。

…この時まだ、ミュートは自身の身に起きる恐怖に気づくことが出来なかった。

 

 

***

 

 

冷え込みが酷くなった12月下旬の夜、ミュートは頻繁にお手洗いで目が覚めるようになった。

「はぁ…、寒い」

上着を取り、用を足すために宿舎の共同トイレへと向かうために部屋を出る。

宿舎の廊下は簡易照明だけで照らされていて歩く先までは明るく照らされてはいなかった。

「…さっさと済ますか」

自身の部屋からさほど遠くない共同トイレを目指してミュートは歩を進めていく。

暗い廊下、
静か過ぎる宿舎の中、ミュートは額から冷や汗が流れ出てくるのを感じた。

「…俺は特殊部隊の人間だ、お化けなんて信じない。怖くなんてない、大丈夫、大丈夫…」

ミュートは昨日のヴァルキリーとカベイラが付けていたヘッドギアを思い出して嫌なことを想像してしまう。

後ろから追いかけて来たらどうしよう、俺は逃げ切れるのだろうか??

…ミュートは怖いものが大の苦手なのだ。

ホラー映画も、
怖い漫画やドラマも、
まったく見る事が出来ないくらいホラーに耐性がない。

「お化けなんて居るわけない、俺は強い。よし、さっさと済まして帰るぞ。もうやだ…」

気がつけば、宿舎の共同トイレに着いたミュートはさっさと用事を済ませるためにお手洗いに駆け込んだ。

 

 

***

 

 

(はぁ、もう少し明るい廊下にしろよな…)

用を足したミュートは手を洗いながらふと考えた。

宿舎の共同トイレは男女別れてはいるが、同じ場所に作られているので怖がりであろう女性陣が文句を言うのも時間の問題であろう。

「…いや、ここの女性陣に怖がりはいないか」

屈強な人間ばかりだとミュートは女性隊員たちの面々を思い出して小さく呟いた。

手を洗い終わったミュートはさっさと自室に戻ろうとお手洗いから出たその時だった。

…どんっ…!

何かとぶつかったミュートは尻餅を着いた相手に手を差し出して立たせようとした。

「悪い、大丈夫か?」

「……………」

「怪我は無いか?」

「……………」

なかなか言葉を返さない相手を不審に思ったミュートは相手に怪訝そうな視線を向けた。

「何か言わないと分からないだろう?…ほら立てって!」

差し出した手を握って立ち上がった人物の顔を見た瞬間、ミュートは言葉を失って絶句する。

「ひっ…!!」

ミュートが立たせた人物は顔が真っ白く、目の色は真っ赤で不気味な笑みを口元に浮かべているではないか。

まるで般若のような不気味な人物を目の前にして、ミュートは手を振り払い声にならない恐怖を感じながら自室へと走っていく。

 

 

(う、嘘だろっ…?!なんだあれ?!YOUKAI?お化け?幽霊?!勘弁してくれよ…!)

身に迫る恐怖にミュートの思考がパニックになり普段の冷静な判断が出来ずにいた。

部屋まではそんなに遠くないから兎に角全速力でミュートは走って逃げた。

逃げて逃げて逃げまくる!!!

「ミュートく〜〜ん、待ってよ〜〜」

しかし、お化け(?)も全速力でミュートを追いかけてくるではないか。

「ひっ、お、俺が何をしたって言うんだ?!や、来るなっ…!!!成仏してくれっ…」

夜中に全速力で走るミュートと追いかけてくる謎のお化け(?)の追いかけっこは、ミュートの自室の前まで続いていた。

 

 

***

「はぁっ、はぁっ…!流石にもう来ないだろっ、なんなんだ、まったく…!!」

部屋の前で息を整えながらミュートは部屋のドアノブに手をかけた。

何とか巻くことに成功したミュートが部屋に入ろうとした次の瞬間だった。

「ミュートく〜〜ん、何で逃げるのかな〜〜??」

あの、不気味な笑みを浮かべた人物がミュートの真後ろに立っているではないか!!

赤い目も、真っ白な顔も、歪んだ不気味な笑みも。

全部がミュートの瞳から焼き付いて離れない。

「ひっ、ひぃぃっ…!!☆〒÷!?!々?!」

廊下にはミュートの恐怖の叫びが響き続けていた。

***

 

 

「ミュート、一人でトイレに行けなくなっちゃったんだって。可哀想なことしちゃったかな」

「いいのよ、たまにはあの生意気そうな鼻をへし折ってやりたかったんだから!ヴァルキリーは悪くないわ」

「そう?…なら良いんだけど」

ヴァルキリーとカベイラは食堂の宿舎で昼食を取りながら談話を楽しんでいた。

「でもまさか、あのミュートがあそこまでビビるなんてっ…ふふ、思い出すだけで腹が痛い!」

「カベイラったら、笑い過ぎ!もう、私だってミュートがトイレにスマホ落としていったから届けようと思って追いかけただけなのに」

「ま、まあ、あんな白面に赤目のベッドギアを身に付けた奴が追いかけたら誰だって怖がるわっ、ふふ、面白すぎて涙が止まらない!」

昨夜の出来事はほんの出来心で、ただのイタズラだった。

ミュートを驚かせるためにカベイラとヴァルキリーが仕掛けたドッキリだったのだ。

「ミュートに謝った方が良くないかな?」

「いいのよ、謝る必要なんてないわ」

「どうして?」

「…見て見なさい、ほら」

「どれ?」

カベイラが目線を寄越す方向にヴァルキリーが視線を寄越せば、その先にはミュートとタチャンカ、スモークがいた。

「ミュートは仲間との交流がないでしょ?苦手そうだしね。だけどほら、きっと昨日の出来事があまりにも怖かったから相談したんだと思う。タチャンカとスモークが一緒に連れションするみたいよ?ね、ミュートに謝る必要なんてないわ」

「ショック療法ですか?カベイラ姐さん?」

「どうだろうね?…ほら、さっさとご飯食べて次の任務の準備するわよ」

「はーい」

ヴァルキリーはミュートから目線を外し食事に取り掛かる。

ミュートの心が与えられた恐怖によって開かれていけばいい、小さく詫びながら食事を進めていった。

*過去作*


【君の為に誓いたい】

あの時、あの場所で死んだことは忘れないし忘れたいとも思わない。時が経てば古い傷は愛しい物へと変わっていく。

そう、これは俺とお前を繋いでくれた愛しい古傷なのだから。

 

 

 


病院で目を覚ましたのはテロリスト殲滅作戦から約一週間経った昼頃だった。テレフォード基地に併設されている医務室のベッドの上に俺は眠っていたそうだ。

「痛ってぇぇっ…、うわ、グロ…」

見慣れない管が刺さった腕を見て自分自身にどん引きしていた。あ、俺本当に死にかけていたんだ。

それが目覚めてからの第一声だった。

隣の部屋に待機していたGIGNの軍医・ドクが目覚めた俺を見て泣きそうな顔をしていたのははっきりと覚えている。

「良かった、本当に…!君が戦場で一時的に死んでしまった時は本当に部隊の皆が絶望の淵に立たされた状態だった。輸血に協力してくれたり、色々と皆が君の為に走り回った。スペツナズのグラズ君なんかは本当に泣き続けていたよ。ま、君が目を覚ましたことを一番に報告するのは『彼女』が良いかな?来てるから会ってやってくれないか」

あぁ、本当にこのお医者さんは目覚めたばかりの俺にまくし立てるように話すんだから。俺、まだ安静状態なんだけど?

ま、いいや。

「分かった。…部屋に入れてやってくれ、俺身体動かせないけどそれでも良ければ…」

「大丈夫さ、ミラ、タチャンカが目覚めたようだよ。私はお邪魔だからまた何かあったら呼んでくれ。隣部屋に居るから」

「あ、あぁ…」

ドクと入れ替わりに医務室に入って来たのは親友であるミラだった。スペインから遠くこの地にやって来た彼女とは息が合い、親友として親交を深めていたのだ。

ミラは無表情で俺が横になるベッドの近くの椅子に座り、俺を見つめてくる。畜生、カッコ悪い所をお前に見せたくなかったのに。

「よ、よぉ…」

顔だけなんとか動かしながらミラの無表情な顔を俺は見つめる。彼女の瞳は何か言いたげに静かに揺れていた。

「タチャンカ…、あんた、馬鹿じゃないの?」

第一声、彼女と顔を合わせた時に言われたその一言は時間が経った今でも鮮明に覚えて居る。

「…目が覚めたばかりの親友に、それは酷いんじゃ無いのか…?はは、まったく格好悪い所をお前に見せたくなかったのに。ミラ、ごめんな」

そっと動かせそうな手をぎこちなく動かして俺はミラの手を握る。無表情な彼女の顔は見る見るうちに泣き顔へと変わっていった。

「謝るくらいなら最初から無理なんてするな!馬鹿!私がどれだけあんたのこと心配したか…!!」

「…気の強いお嬢さん、俺の為に泣いてくれるの良いが目覚め立ては優しい言葉が良いな。だけどごめんな、お前に心配をかけるつもりは無くて泣かせたくもなかったんだ。ミラ、ただいま」

しっかりと握り返した手は機械を弄っているからと言って女性らしい柔らかな手には違いなかった。

「…おかえり、タチャンカ…」

親友の手の温もりを感じながらこの命を救ってくれた仲間の顔を思い出していく。きちんと退院したらお礼を言わないとな。

 

 

***

 

 

ヘレフォード基地の医務室から自室に戻れるようになったのは実に一ヶ月ぶりだった。リハビリも兼ねて、しばしの休暇を貰えた俺は医務室で何かと世話を焼いてくれたミラにお礼をしたくて彼女を呼び出した。

「あんたがあたしを呼び出すなんて、珍しいじゃない。LMGの改造なら後で…」

「そんな仕事絡みじゃねぇって、その、何だ。お前、俺が入院中に色々と世話を焼いてくれただろ?そのお礼がしたくて呼んだ。仕事以外でお前を呼んじゃ駄目なのか?親友だろ、俺たち」

「…っ、本当にあんたって鈍感ね!頭が固すぎるのよ、まぁ良いわ。それでこんな夜更けの寒空の下に呼び出して何があるのよ」

「お前に見せたいもんが有るんだ、ちょっとだけ丘の上に行くぞ。ミラ、寒いなら手を繋ぐか?」

「付き合っても居ない男女が手を繋ぐなんて破廉恥過ぎる!!あんたの手袋貸しなさいよ、馬鹿」

「そんなこと言うなって、ほら、手を繋ぐくらいで赤くなるなよ。お前って気が強いけど本当に可愛い奴だな」

「…冗談で可愛いとか言わないで。あたしにそんな言葉は…」

やべぇ。

妙な空気にしたかな、俺。

ミラが寒そうにしていたから手を差し出して『手を繋ぐか』と声をかけたらミラは顔を赤くするし。『可愛い』と呟いたら否定するし。

冗談なんかじゃなくて本気でそう思ったから呟いたんだ。あぁ、俺ってやっぱり鈍感な男だよ。

ミラ、お前はとっくに俺の中じゃ『親友』以上の存在になっていたのに気がつくのが遅かった。

…馬鹿野郎は自分自身じゃねぇか。

「…ミラ、お前に言いたいことがあるから着いて来て欲しいんだ。丘まで少し遠いから俺の手を握れ。寒い中お前の綺麗な手を冷やしたくは無いからな」

「…あたしの手は綺麗なんかじゃ…!」

「お前にお前を拒否する権利なんて無いんだ。ミラ、行くぞ。お前に見せたいものが見せられなくなっちまう」

「…勝手にしろ、馬鹿タチャンカ!」

親友が可愛く見えて仕方ない俺は怒り気味のミラの手を握り、見せたいものがある場所へとゆっくりと歩を進めていく。

 

 

***

「い、いつまで手を繋いでいるつもり?!離してよっ…!」

「嫌だ、お前が離しても俺はミラ、お前の手は離さないよ。もう少しでお前に見せたい物が見せられるから我慢しろ」

丘に着くまでの短い時間の中でミラはあまり言葉を口にせず、はたまた俺の手を離そうとするもんだから俺は離せないようにきつく握っていた。

会話がなくたって構わなかった。

大切なお前が、俺の手を握って背後に居てくれるだけで充分だったから…。

「ほら、見えるか?この街並み」

「…これはすごい…」

気がつけば目的の場所につき、丘に並んで街並みを見下ろせばそこに広がるのは天の川のような夜景だった。

「もうすぐこの街で祭りがあるみたいなんだ。夜更けだが街はその準備で賑わうみたいでな、この時期にしか明るい街並みをこの場所で見ることは出来ないんだ。ミラ、お前には心配ばかりかけたし面倒を見てくれたからそのお礼がしたくてこの場所に連れて来た。…どうだ?」

ミラは見たことのない光景に目を輝かせて小さく呟いた。

「…綺麗だよ、ありがとう」

「なぁ、ミラ、お前は俺があのまま生き返らず死んじまったらどうしていた?俺の死を悲しんでくれたか、それとも『煩い奴が居なくなった』とせいせいしてくれたか?」

俺はミラの横顔を見ながらぽつりと言葉を吐き出した。ミラはゆっくりと俺の方を見つめて呟いた。

「あんたはあたしの気持ちを何一つ分かってくれないんだね、タチャンカ、あたしはあんたが目覚めるまで何度もあんたの側で祈ったんだ、『お願い、この人を助けて』って。何でか分かる?!あたしはあんたを親友以上としてー・・・」

それ以上は俺から言わせろ、示しがつかねぇじゃないか。

彼女の腕を引き寄せて、小さく冷え切った身体を己の腕の中に閉じ込めた。

「ミラ、俺だってお前と同じ気持ちだってやっと自覚した。お前を親友以上…、一人の女性として見てるんだ。なぁ、俺は思った以上にお前が好きみたいだ。馬鹿で鈍感でお前よりも歳上な俺をお前は受け入れてくれるのか?」

こんな歳にもなって自身の気持ち、そして相手の思いに気がついてやれなかった自分が腹立たしい。

ミラはゆっくりと俺の背中に腕を回してか細い声で呟いた。

「…受け入れて欲しいなら誓ってよ」

「何を誓えばお前は俺の思いを信じてくれるんだ」

「もう二度、あたしに心配をかけるような真似をしないでよ…!!あたしにとってあんたは何よりもかけがえのない大切な人なんだから…!あたしはもう、大切な人を失いたくないの…!」

俺は彼女の経歴を思い出し、自分が死にかけたあの一瞬を酷く悔いた。俺はこんなにも自分を思ってくれていたミラを知らないうちに傷つけていたんだな。

なら誓うことはただ一つ。

「ミラ、絶対にお前を一人になんかしない。俺を思ってくれたお前に誓うよ、好きだ…、お前を離したくない。大好きなんだよ、ミラ、お前が大好きだ…」

口に出来れば簡単な誓いも自覚するまでに時間がかかってしまう。俺はお前が好きなんだ、だからお前に伝えたいんだ。

「タチャンカ、あたしもあんたが…」

スペインの女性ってやっぱり情熱的なんだな。ミラ、お前から唇重ねて来てくれるなんて思いもしなかった。

寒空の下、明るい街並みを見下ろせば今腕の中にいる大切な人に愛を誓う。俺は絶対にお前を一人にしないよ、大好きなミラ。

 

 

 

 


『あたしもあんたが大好きだ』

俺はその言葉を聞けただけで充分幸せなんだ。お前の隣で生きているこの瞬間が何よりも大切な宝物なんだ…。

ミラ、これからも俺の隣で笑っていてくれ。

お前には笑顔が一番だから。

20000PV超えたら。

・カプグラ/フュグラ 

『臆病すぎる恋/相棒以上恋人未満』

 

・モンドク

『喧嘩の後の甘い夜』

 

バンイェ

『秘めた闇を抱える人』

 

を書く予定です\\\\٩( 'ω' )و ////

レインボーシックス以外のこと。

こんにちは。

 

いつも小説を読んでいただいてありがとうございます、穴龍です。

 

毎日お仕事や学校、お疲れ様です。

 

私も社会人になって五年目、毎日ひーひー言いながら会社に行っております。

 

この度、体調が優れない日が続きまして一度は元気になったものの、最近また胃の痛みなどと戦ってる日々が続いております。

 

R6Sの創作も正直続けるのが難しい状態でありまして、しばらき創作活動を休止しようと思います。

 

引き続き作品はpixiv、ブログには残しておきます。

 

「休止?またすぐ復活するでしょ??」

 

いいえ、今回は長期間創作を休もうかと思っております。いつも読んでくれている方々、この場を借りてお礼を申し上げます。

 

引き続きツイッターは浮上しますので交流ある方は宜しくお願いいたします。

終わりない明日

【終わりない明日】

 

果てない荒野が見えるその丘に私は居た。

白衣にアサルトスーツという異色の出で立ちだが、着用している白衣は私の負った怪我が原因で真っ赤に汚れていた。

「あぁ、私のイメージカラーは白なのに」

ハンドガンと簡単な医療器具が詰まったカバンを持ちながら私は敵兵から逃れてきた。

任務に就いた国で紛争が終わり、平和の為の条約が結ばれた朝。

私は医師団の人間として最後まで国内に残っていたのだ。

しかしスパイだと過激派から疑われた私は手負いの状態になりながらも必死に逃げてきたのだ。

抵抗した時に撃たれた傷が思っていたよりも酷く、真っ白な白衣は真っ赤に染まっていった。

このまま逃げ場がない私はどうしたら良い?

崖の下に飛び込めば良い?

分からない、分からないんだ。

終わりない明日を迎えるにはどうしたら良い?

…答えなんて一つしかないだろう?

果てない荒野が見えるその丘の真下、私は覚悟を決めて足を一歩踏み出した。

真下は川で運が良ければ生きていられるだろう。

血で汚れた白衣も、
バンに詰まった医療器具も、
マガジンの入ったハンドガンも。

全て此処に置いていこうか。

私は最後まで善良なる医師であったのだろうか。

か弱き者に手を差し伸べて、温かな光を見せることが出来たのだろうか。

…私には出来なかったのだろう。

だからこそ私はスパイだと疑われ、そして身体に傷を負って此処に居るのだろう。

「さよなら、終わりない明日に夢見る者たちよ」

一歩踏み出して堕ちていけば後は思うことなんてなかった。

あぁ、私は最期まで。

結局最期まで後悔しかなかったんだ。

堕ちていく中で頰を伝っていく涙に思いを馳せていく。

次に目を覚ます時にはどうか。

終わりない明日を望める側に居れますようにと願いを込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

水の冷たさが、心地良かった。

 

 

 

送りつけたお話(3)

「…何なんだよ、畜生っ…!!」


誰も居ない、資料室でミュートは怒りに任せてデスクに八つ当たりする。


(なんで俺があんな馬鹿に振り回されなくちゃ行けないんだ、ムカつくっ……)


***
事の発端は、
今から約3時間前。
演習場での実戦訓練をしていたときである。

ミュートはいつものように、自身の開発したデバイスを使った訓練を行っていたのだ。

(…よし、今日も範囲良し、ドローンもきちんと止まってるな)
自身の開発した、
「モニ」をその場から取り外そうと、ミュートが屈んだ時だ。

『よぉ、ミュートくん。今日も一人で訓練か、可哀想な奴だぜ』

ミュートの頭上から降りかかるのは、『一番嫌いなタイプ』の人間の声………。

『…ス、スモーク…。なんであんたがここにいる』

非番のはずのあんたが、なんでここにいる?

そんな声が、喉から漏れるのを必死に抑える。

ミュートは立ち上がりスモークを睨む。

『独りぼっちのミュートくんをからかいたくて、遊びに来ちゃった』

口許には嫌みを含んだ含み笑いを浮かべているではないか。

そんな表情をみたミュートは怒りに身を任せてスモークに言い放つ。

『あんたは、どこまで俺を馬鹿にすれば済むんだ?やっている事が子ども以下だぞ。…仕方ないか……』

 


『あんた、低脳で馬鹿だもんな?』

嫌みたっぷりに言い返すと、
スモークは無言でミュートの顎を持ち上げ、顔を近づける。

『…………?!』

気がついた時には遅かった。

…スモークに、唇を奪われる…。
重ねられた唇からは、熱い吐息だけが出てしまう。

やがて、
唇が離れてスモークはミュートに一言呟いた。

『やっぱりお前、可愛いな』

そう言って満足そうな笑顔を向けると、その場から颯爽と立ち去って行くではないか。

(…は…?あいつ、俺にキス…………)

……してきたよな……?!

演習場は運が良く、ミュート一人だけだった。

心の中は怒りと羞恥でいっぱいになってしまう。


***

そんな出来事があったのが、約3時間前の話である。

普段冷静な自分なら、
何があったかなんて直ぐに分析出来るのに。

(俺を馬鹿にしてるのか、畜生……)

冷静になるために、ミュートは一人資料室へと足を運んだのだ。

八つ当たりしたときにミュートは思いきりデスクを殴ったので、手が少し腫れていた。

(…何なんだ、まったく。医務室に行くか…)

ミュートは取り敢えず腫れてしまった手を冷やすため、基地の医務室へと向かう。

 


***


「失礼しま………、なんであんたが居るんだ…」

医務室へ向かい、
中に入るとそこに居たのは…………。

「よっ!怪我なら見てやるよ?」

先程、
無理矢理自分の唇を奪った張本人である。

「…あんたになんか、触れられたくない」

「…良いから見せろって。どうせ、俺のせいなんだろうし」

「…分かってるなら、どうしてあんなことしたんだ?!」

「お前が可愛いから」

ミュートを無理矢理椅子に座らせ、スモークは氷の入ったビニールをミュートの手にあてる。

「…手、腫れちまってるな」

「ムカついたから、デスクを殴ったんだ。あんたがあんなことしなければ俺は痛い思いしなくて済んだんだ」

ミュートは半ば、やけくそ気味にスモークへ文句を言う。

スモークは少しだけ、自嘲気味に微笑んだ。

「俺はお前が好きなんだよ、独りで頑張ってるミュートが。…可愛くて、仕方ないんだよ。…勝手に手を出したのは悪かった」

(なんでそんな悲しそうな顔を向けるんだ……)

ミュートの心は少しだけ揺れ動いてしまう。

「…だ、だったらなんであんな俺のプライドをズタズタにするようなことばかり言うんだ、言ってることと気持ちが反比例してるだろ!?」

するとスモークはじっと、
ミュートの瞳を見つめる。

ミュートの気持ちはざわつくことを覚える。

目の前の男は自分よりも10歳は離れている。

しかし
顔立ちは怖いほど端正で、
見れば見るほど男らしい。

「可愛いやつに意地悪したくなっちまう。自分の悪い癖だってのは充分分かってんだ。…ミュート」

手に当てていた氷は水へと姿を変える。

「お前に対しての気持ちは本物だ、天に誓う。二度とお前が嫌がることなんて言わない。…だからお願いだよ、俺のこと見てくれないか」

(…もう、知らない。こんな気持ちなんて知らない………)

ミュートは溶けきった氷水を机の上に置き、スモークの顔を思いきり自分の顔へ近付ける。

 


重ねられた唇は、やがてお互いの舌を追いかけるように絡み合う。

 


「…ん、ふぁ…………」

仕掛けたのは自分からだ。

しかし、
気がついたら攻め立てるのはスモークの方で。

唇が離されたあと、
スモークはニヤっと笑みを浮かべる。

「もう戻れないぜ?いいのか……」

「…もういい。こうなったら乗り込んだ船だ…」

 


ミュートはスモークに
不敵な笑みを向ける。

「俺を名一杯可愛がれ、スモーク。…可愛くて仕方ないんだったら余裕だろ?」

「言うじゃねーか、まあいい。…ミュート…」

 


スモークはミュートを自分の腕の中に閉じ込める。

「覚悟しろよ、俺はやすやすと好きになった奴を手放したりなんかはしてやれねぇ性格だからよ?」

「…うるさい、あんたは黙って俺を可愛がればいいんだ」

「了解だぜ、ミュート…」

二人はもう一度、
深く深く唇を重ねる。

溶けきった氷水はまるでミュートの心のようである。

…不自然な感情のはずなのに。

この気持ちはやがて、昇華されて行くだろう。

二人は始まったばかりなのだから。