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DOC〜THE beginning barrett(タンブラーより)


【DOC〜THE beginning barrett】


人は何の為に生き、そして死ぬのか。

そしてメディックとは、何の為に命を救い戦うのか。

そして。

命を救う為には命を殺める。

いつからだろうか。

こんなにも己の手を汚すようになったのは。

 


キャリアを捨てて戦場に立つことに悔いはなかった。オフィスに居るよりも自分のできることがより多いと感じたからだ。

初めて手にするリボルバーの重さ、火薬の匂い、そして戦場に広がる血の香り。

あぁ、私の本望が疼いて渇望している。救える命、そして失われる命。

この『見極め』こそが真の愉悦なんだと。背筋が背徳によって震えて、そして口元には笑みが零れる。

仲間を殺し、
弱き者を殺めた敵に私は手を差し伸べた。

『地獄でまた会おう』

額にめがけて放つ弾丸は命を絶つのには十分すぎて。哀しげに歪む顔も、そして閉じられていく瞳も。

流れ出る温かな血も。

私は同情なんてしなかった。戦場に立つメディックとして出来る一番のことをしただけだから。

心を鉄に、そして気持ちは冷酷に。

一瞬たりとも隙を見せては行けない。

私が初めて人を殺めたのはあの時が初めてだった。今でも目を瞑れば思い出す。

事切れる刹那の、あの一瞬を。

 


隊員として、メディックとして、そして一人の人間として。守るべき命、そして時には見捨て無ければいけない時もあるということをこの数十年間で身を持って感じてきた。

オフィスにいた頃、利き手で持っていたメスはリボルバーに。

そして清潔な白衣は血に塗れたアサルトスーツに。

救える命があるのなら。

たとえ命を奪ったとしても。

私は戦場に立つことをやめない。

『背中は守ってやる』
『さぁ、行きましょう』
『俺は貴方を信じている』

背中を任せられる仲間が居るのだから。

この命の灯火が消えるまで、私は今日も戦場に立つ。血に塗れても、命を救う為に…。