穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

怒って?君が好きだから

1.エコー×グラズ
『怒って?君が好きだから』

 

 

①一夜限りの過ち

 

 

グラズは二日酔いの影響でぐらつく頭を押さえながら自室へと戻っていく。スペツナズのメンバーで街に繰り出し、居酒屋を梯子した帰り。

同僚のタチャンカが裸でベッドに眠っているのを見たグラズは顔から血の気が無くなるのを感じながら辺りを見渡した。

ゴミ箱には使用済みのゴム、
後処理をしたと思われるティッシュ、
そして自身の腰に残る鈍痛。

(…あぁ、やってしまった…)

一夜限りの過ちを同僚、しかもタチャンカが相手と来た。グラズは裸で眠っていたタチャンカを起こす。

『おい、起きろって…』

『………』

駄目だ、起きない。

眠るタチャンカを放置して、ノロノロと自室へと戻っているのが午前八時の話。

運が良いことに今日は非番、しかしグラズにとっての一番の問題は恋人である『彼』の存在だ。

(…優くん…)

朝起きて携帯を見たら彼からは珍しくSMSが二件ほど。恐る恐るグラズが見てみれば、そこには怒りを露わにした文章が書かれていた。

【遅い】
【何してんだよノロマ】

グラズが次の日、非番であれば恋人である彼はだいたい部屋に遊びに来る。ただの暇潰しかもしれないけどグラズにとっては幸せな時間でもあった。

気がつけば自室の前に着いていたグラズは恐る恐る部屋の中に入る。やはり彼は来ていたようで、テレビのニュースの音声だけが空しく部屋に流れている。

「…ただいま、優くん」

恐る恐る声をかければ、グラズの恋人であるエコー…、江夏優がゆっくりと振り向いてグラズを見つめた。

「…随分遅かったな」

「ごめんね、昨日タチャンカの部屋で飲みに行った後寝ちゃったみたいで、メールも気づかなかった。優くん、俺…」

グラズはエコーの顔を申し訳なさそうに見つめる。しかしエコーはグラズの首元を見て呆れた笑みを浮かべて呟いた。

「浮気して朝帰りして満足か?馬鹿みたいだ、お前を待っていてやろうと思った僕が馬鹿だった。帰る」

「ちょっ…!優くんっ…!!俺の話を…!」

「…お前なんか大っ嫌い、もう僕の前に姿を見せるな。こっちまで汚れるだろ」

エコーは捨て台詞を吐いてグラズの部屋を後にする。自室に取り残されたグラズの身体からは力が抜けていく。とりあえず顔を洗って頭をすっきりさせよう、そう思ったグラズが洗面台に立ち自身の顔を見れば…。

「…これは…」

首元には赤い跡。エコーはこれに気づいてしまったのか、怒りを露わにして部屋を出て行ってしまった。

昨夜の過ち、タチャンカと悪酔いして身体を繋げたときに付けられた跡だろう。

グラズの瞳からは涙がぽろりと溢れ落ちていく。

「優…くんっ…、ごめんなさいっ…」

洗面台で一人泣き崩れるグラズは昨夜のことを酷く後悔していた。エコーはきっと一人で待っていたのだろう。

自身の行いを悔いることしか今のグラズには出来なかった。流れ出る涙は止まることを知らず、ただただグラズの瞳から溢れ落ちていく。

(….嫌われちゃった、優くん、優くん…)

エコーのことを思いながらグラズは自責の念に駆られていた。

 


②お前なんか知らない。

 

 

エコーは誰に対しても無関心で、例え興味を持ったとしてもそれは人間なんかではなく機械ばかりだった。

しかしいつの間にか自分の前にしつこいくらいの笑顔と愛想を振りまく狙撃手が隣にはいた。

『優くん』
『好き』
『愛してるよ』

自分とは縁の無い言葉をかけてくるグラズをエコーは自分のものにしたい、独り占めしたいと思うようになっていた。

…なのに。

グラズの帰りを待っていたエコーが見せつけられたのは他人が付けた赤い跡。腹の中から沸々と湧き上がる感情に名前なんて無いけれど、エコーは怒りを露わにして呟いた。

『…お前なんか大っ嫌い、もう僕の前に姿を見せるな。こっちまで汚れるだろ』

今までに感じたことのない感情を露わにしながらエコーはグラズを冷たく突き放す。

 


かれこれ一週間。

エコーとグラズは顔を合わせるどころか、連絡すらまともに取らず日常を過ごしていた。共同宿舎に暮らす二人は嫌でもすれ違う。

すれ違う時にチラッと見つめてくるグラズにエコーは舌打ちをする。びくりと身体を震わせるグラズの目の下にはクマが目立つ。

(…自業自得だろ、知るか…)

黙々と休憩室でようかいを弄っていれば、すれ違いざまのグラズの悲しそうな顔が頭に浮かんでは消える。苛立ちを露わにすれば口から漏れるため息に、同僚であるヒバナは呆れたように呟いた。

「また喧嘩?グラズくんとでしょ?」

「…由美子。あいつの名前を出さないでくれないか?」

「まったくあんたたち2人って本当に不器用よね〜、良いこと教えてあげる。グラズくん、寝不足で今朝倒れたってドクが言っていたな…、どっかの誰かさんがずっと無視したり口聞いたりしてくれないから悩んでるって言ってたな〜〜…。エコー、あんた良い大人でしょ?浮気の一つや二つ、許してやりなさいよ!あんたが機械にしか関心向けてなかったのを変えてくれたのは誰?他ならぬグラズくんじゃないの?…私はグラズくんとあんたが幸せで居てくれた方が嬉しいの!二人の親友としてね。エコー、あんたはグラズくんが…!」

「…僕だって分かってる!自分が幼稚なことくらい理解してる、だけどあいつは他の奴に抱かれたんだぞ?!それを簡単に許せるわけないじゃないか、あいつは僕のものなのに…、僕以外に触れられてることが許せない…」

「答えが出てるなら会いに行きなさいよ、馬鹿江夏っち!グラズくん眠ってるんだからあんたのキスで起こしてやりなさい」

「…善処してみる」

エコーはようかいをロッカーにしまってグラズが眠る医務室へと向かっていった。口では何だかんだ言っていても、結局は無関心で居られないくらいにはグラズに関心を持ってしまってるエコーがいた。

 


「…グラズ…」

「エコー、静かに。今点滴打って安静にしてるから時期に目を覚ますよ。私は用事があって席を離すから君は医務室に居てやってくれ。…大切な子なんだろう?」

「….あんたには言いたくない」

「ふ、構わないさ。彼、睡眠不足以外に栄養失調にもなりかけていたから。何かあったら電話しろ。エコー、グラズくんが寝言でずっと君の名前を呼んでいたよ。おっと、余計なことを言ってしまった。私はしばらく部屋には戻らないようするから」

「余計なお世話だ」

ドクの顔は見ずにエコーは眠るグラズの顔を見つめる。色白なグラズの顔色は幾分かましで、呼吸も穏やかだった。エコーはグラズの顔にそっと近寄って温もりを感じるために唇を這わせていった。

 

 

 

 

 

 

誰かの体温が俺の近くにあってふわふわとした感覚が身体を支配する。あ、俺確か気を失ったんだ…、そこまでは覚えている。

大好きな君を傷つけて、
大切な約束すら守れずにいた俺は君の隣にいる資格なんてないんだ。

優くん、好きになってごめんね…。

ごめんね…。

 

 

 

 

 

 


「優…くん、ごめん…ごめんね…」

「…馬鹿じゃないの、本当に」

グラズの水色の瞳からはほろりと涙が溢れ落ちていく。ゆっくりと開かれたグラズの瞳は驚きに見開いていく。

「…何で優くんが…」

「どっかの馬鹿が倒れたって聞いたから。お前何なの?人に迷惑かけて、僕にまで迷惑かけて。本当に迷惑な奴だよ」

「…俺に君を好きでいる資格なんて無いから別れてもいい。優くん、俺ね、悪酔いのせいで一夜の過ちを犯したこと本当に後悔してるし相手が優くんだったらどんなに良かっただろうってずっと考えていた。連絡すらまともに取らずに居たのは優くんに合わせる顔が無かったから…。本当にごめんね…」

グラズはベッドに横になりながら涙目でエコーを見つめる。エコーは胸が苦しくなる気持ちに駆られてグラズを睨みつけて言い返す。

「…簡単に別れてなんかやらない。グラズは僕だけのものだ、お前は僕に迷惑ばっかかけるし邪魔ばかりするし…。だけど、だけどお前の存在がいつの間にか大きくなってたんだ!責任取れよ、お前なんて嫌いなのにっ…!くそ、グラズの馬鹿っ…」

「…優くん、泣かないで…?」

グラズは涙で濡れた瞳を細めながらエコーの顔を見つめる。気がつけばグラズにつられて泣いていたエコーは涙を拭う。

「俺は優くんのものだよ、だから好きにしていい。許してくれなくていい、だからもう一度上書きして欲しい、優くん、酷くしていいよ…」

「…煽った責任取れよ、ティムール」

「うん、喜んで…」

エコーはグラズが眠るベッドに乗っかってグラズの首筋に噛み付いた。自身にのしかかるエコーの体重を全力でグラズは受け止める。

久しぶりのエコーの体温にグラズは嬉しげな笑みを浮かべて彼の背中に腕を回していった。

 


③怒って?君が好きだから

 

 

医務室の鍵を施錠して誰も部屋に入れないようにしてしまえばこちらの勝ちだ。エコーはグラズの中の良いところをぎりぎり攻めては、すぐに抜くという焦らしを繰り返していた。

「…んぅ、優、くんっ…、あっ」

「ティムール」

「気持ちいいっ、うっ…、あぁ、無理っ…」

「勝手に出すなよ?」

「はっ、んぅ…」

エコーはグラズの顔を見つめながら腰をゆるゆると動かしていく。自身の熱がグラズの内壁に締め付けられるたびに出そうになるのを必死に耐えるエコーの理性は崩壊寸前だった。

「他の奴に抱かれた時、何を考えていた?」

「優くんのことっ…、優くんにぐちゃぐちゃにされること、考えてたのっ…、はぁ、ん、あ、優くんの大っきい、俺の中、優くんのでっ…」

「淫乱だな、本当に…!もっと躾してやる、覚悟しろよ」

「あっ…、あぁぁっ、優くんの、優くんの種たっぷり出てるっ、ん、熱い…」

エコーは身震いしながらグラズの中に精を吐き出していく。しかし出し終わってもエコーは抜かず、再びグラズの中を抉るように突いていく。

「お前ん中熱いな、まったく…。僕の精液とお前の腸液で尻の穴泡だってる。ティムール、淫乱だな…」

「優くんの、好きっ…、硬くて良い所ばっか当たるからっ、お腹いっぱいなのにっ…!」

「…僕自身が好きなんだろう?」

「う、ん…、好きっ、他人に抱かれてごめっ… 、俺の中に出していいのは優くんだけなのっ、優くんっ、優くん…」

「そんな声で名前を呼ぶな、また出るだろう?そんなに種付けされたいのかよ、変態」

「…いっぱいいいよ、優くんのもっと俺に…、俺を束縛して、離さないで、ボロボロにしてもいいっ、俺には君だけだから、あっ、あぁぁっ…!」

(…絶対に言ってなんかやらない、僕の本当の気持ちなんて、絶対に…)

エコーはグラズの唇を塞ぎながら彼の中に二度目の精を吐き出していく。ぽたりぽたりとグラズの尻からは白濁の液が溢れ落ちていく。

重ねられた唇の体温と、
抱き締めてくれるエコーの温もりがグラズの身体に染み込んでいく。愛しい彼の顔をグラズは潤んだ青で見つめていた。

 

 

 

 

 

「優くん、おはよう」

「五月蝿い」

「…優くん、好き、大好き…」

「…勝手に言ってろ、馬鹿」

また朝はやってくる。

いつものように並んで食堂へ向かう二人はいつもの二人に戻っていた。喧嘩をした二人は久しぶりに互いの熱を感じて互いの想いを再び確認しあったのだ。

エコーはグラズの隣で楽しそうに笑う姿を見て自然と口元が綻んだ。そんな様子を見たグラズは嬉しげな笑みを浮かべて彼の口にキスをする。

「優くんの笑顔、初めて見たからつい…」

「…グラズ、今夜は寝かさない。覚悟しておけよ。この僕に対して生意気にもキスしてくるなんて…、ズルすぎる」

「優くんが大好きだから、笑顔が見れて嬉しくて…」

「ふん、やっぱりお前なんて嫌いだ…」

「俺は大好きだよ?!ちょっと待ってよ、優くん…!」

「早くついて来い、ばーか」

エコーはそれきり黙って後ろからついてくるグラズに手を差し出した。グラズはエコーの手を握り彼の後ろを歩き始める。

 

 

どんなに嫌いでも、
どんなに煩わしくても。

恋は惚れさせた者勝ちなのだから。