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お前を好きすぎる理由/照れ屋な君

【お前を好きすぎる理由/照れ屋な君】


1.お前を好きすぎる理由


エコーは無言でグラズの部屋に入ってくるなり、彼の腕を掴んで部屋を飛び出さんばかりに勢い良く歩き始める。

「ちょっ、優くん?!いきなりなに?!」

グラズが恋人の名前を小さく呼べば、エコーは無言を貫き通し、グラズの言葉に耳を傾けようとはしなかった。

グラズは目の前を行く恋人に掴まれている手首に愛しい熱をじわりと感じ取る。

 

連れて行かれた場所は基地の屋上だった。グラズ自身が良く絵を描きに来るお気に入りの場所で、なぜこの場所にエコーが連れて来たのか不思議だった。

掴んでいた手を離したエコーはグラズの青いガラス細工のような瞳を真っ直ぐと見つめて、消え入りそうな声で呟いた。

「…グラズ、お前は誰が好きなの?」

エコーの言葉を聞いたグラズは不思議そうな表情を浮かべてエコーの真っ黒な瞳を見つめ返した。

「俺が好きなのは優くんだよ…?どうしてそんな事を聞くんだ、俺、何かしたのかな」

グラズはエコーの瞳を心配そうに見つめて呟いた。グラズの瞳が僅かに揺れているところを見たエコーは、唇を噛み締めながら己の想いの丈を吐き出した。

「…お前が、お前が他の奴と楽しそうに話してるのが許せない。僕が居るのに、グラズ、お前はどうして他の奴らと仲良く話してるんだ?…すげー腹立ってんだけど」

エコーの言葉を聞いたグラズは瞳を細めて彼の頭を優しく撫でた。

「…優くん、妬いてくれてるの…?」

「は?!い、意味が分からないっ…!僕はただ自分以外の目の前でお前が笑顔を安売りしてるのが気に食わないだけで…!」

顔を赤くしながら想いを吐露するエコーが珍しいのか、グラズは心の底から嬉しげに微笑んで彼に抱き着いた。

「…俺には優くんだけ。優くんが他人と話すなっていうならそうする。だけどそんなことしなくても、俺には君だけ何だけど。…信用できない?」

グラズに抱き締められたエコーは「ちっ」と恥ずかしげに舌打ちをするが、彼の身体の体温を逃さないようにしっかりと抱き締め返す。

「…信用はしてる。だからこそ独占したいと思う僕の気持ちをお前はどう思う?好きなんだよ、普段から鈍くて天然なお前が可愛くて仕方ない。妬いちゃ駄目なのか?!」

「…嬉しい。優くんが俺のこと考えて妬いてくれただけで充分幸せ。俺を好き過ぎるから妬いてくれたんだよね?少し、自意識過剰になってもいい?」

「…勝手にしろ、グラズのばーか」

「うん、好きにする」

エコーはグラズの腕の中で小さく悪態を吐きながら大好きな彼の体温に包まれて幸せを感じ取っていった。

 

2.照れ屋な君


エコーとグラズは貴重な休みを自室で過ごしていた。エコーが妖怪ドローン弄ってる横で、恋人であるグラズはエコーの似顔絵を一生懸命描いていた。

エコーを真剣に見つめながらグラズが彼の似顔絵を描くものだから恥ずかしくなったのか、エコーはグラズの横顔を見て呟いた。

「…グラズ、お前、俺が抱いている最中は顔見られるの『恥ずかしい』って言うくせに、絵を描いている時は食い入るように見てくるよな。何で?」

グラズはその言葉に顔を真っ赤にしながら鉛筆をさらさらとスケッチブックの上で動かしていく。

「…俺を抱いてくれてる時の優くんはかっこよくて、俺の隣で妖怪ドローンを一生懸命メンテナンスしてる優くんは可愛いから、その、表情の違いかな。雰囲気が変わるんだ…」

「へぇ…」と言いながらエコーは妖怪ドローンに視線を戻す。本来グラズは一対一なら愛想も良く、穏やかな性格だから柔和な表情を向けてくる。

しかしエコーに出会ってからグラズの喜怒哀楽にも良い意味で影響を与えてコロコロ表情が変わるようになったのだ。

「…優くんはどうして俺のこと好きになってくれたの?ずっと聞いて見たかったんだ」

グラズの視線はスケッチブックの上にあったが言葉はエコー自身に放たれた一言だった。エコーは妖怪ドローンをテーブルに置いてグラズを背後から抱き寄せた。

「…聞きたい?」

「ち、近いっ…てば!!」

「最初は綺麗な奴だと思った。本当にそれだけだった」

「そっか…」

「…だけどお前がスコープを覗く姿とかこうやってプライベートで見せる姿に正直惹かれた部分が多い。…ってグラズ、お前耳真っ赤」

グラズは背後から抱き締められた状態で、しかも耳元で大好きな人の声を間近で聞いてしまえば、色白な肌を真っ赤に染めてしまう。

「優くんの声、好き…、俺も優くんのぶっきらぼうだけど優しい所とか、かっこいい所大好き…っ、ふぁっ…」

エコーはグラズの唇を塞ぐかのように強引なキスを彼に仕掛ける。まるで『これ以上何も言うな』と言わんばかりに強引なキス。

舌を絡め取りながらグラズの耳元、そして首にエコーは指を這わせて触れて行く。エコーに触れられていく場所は粟立っていき、そしてグラズは身体を震わせた。

 


唇を離された後、グラズはエコーの黒い瞳をとろんとした表情で見つめて呟いた。

「…絵が描きかけなのに、熱が治らない。優くん、俺を抱いて?今なら優くんの顔見れるから…」

エコーはグラズの腕を掴んでソファにしっかりと押し倒してニコニコと笑顔をグラズに向けて呟いた。

「誘ったのはティムール、お前だからな。描きかけの絵は…後で描かせてやる、僕から目を逸らすなよ」

「…優くん、優くん…」

愛しげに名前を呟かながらのしかかってくる大好きな恋人の体温を感じる為にグラズはエコーの背中に腕を回していく。

色白な狙撃手の耳元も、
顔も、首から肩にかけても、
照れのせいで真っ赤に染まっていたことはエコーしか知らない。