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ゲリラ投稿⑦

 

グラズ×カプカンでシリアス。

 

【別離〜別れ道】


向かい合い、互いの瞳を見つめ合えばマクシム・バスーダはティムール・グラズコフの手を握りながら目を細めた。

かつては狩人と言われたこの男も今はただの病人に過ぎず、そしてかつての威厳などそこには存在しなかった。

ティムールはマクシムの手を握り返し、病床で臥せる彼の瞳を見つめて小さく呟いた。

「あんたはどうして延命を望んだ?薬で命を引き延ばしても辛いはずだ。自身の肉体にとっても精神的にも死を選択した方が良かったんじゃないか」

まだ40代半ばであるマクシムは気付かないうちに身体を病魔に蝕まれており、余命僅かという宣告を受けていた。

そんなマクシムと恋仲であったティムールは欠かさず彼の病室に足を運んでいた。日々痩せ細っていくマクシムを見るのが正直ティムールの精神に応えていた。

「…俺は最期までしぶといから」

力なくマクシムは口から言葉を漏らす。痩せ細った顔、細くなってしまった指先は微かに震えており、ティムールの顔に触れるかのように伸ばされていく。

「…死に逝くことに恐れなどない、分かった時から死を受け入れることを心に決めていたからな。ただなティムール、俺が一番怖いのは…」

マクシムの指はするりと陶器のように整ったティムールの顔に触れていた。まるでもう触れられないと言わんばかりに、慈しむかのように。

「俺が逝って、お前が別の誰かと幸せになることが一番怖い。ティムール、俺を忘れないで、俺と過ごした日々を思い出して、ずっとずっと…、俺を想ってくれないか」

マクシムはティムールに乞うかのように囁いた。ティムールは唇を強く噛み締めながらマクシムの身体を引き寄せた。

「…俺があんたを忘れる訳なんか、忘れる訳なんかないだろう?!絶対に忘れてなんかやらないっ、マクシム、あんたは何も分かってない!!置いて逝かれる俺の気持ちなんか何一つ分からないだろう…!!」

ティムールは薄い青の双璧に涙を浮かべながらありったけの想いをぶつけた。マクシムは力が入らない身体で必死にティムールの身体を抱きしめ返す。

「…俺だって本当は生きたかった、だけれどこれが運命というのなら受け入れるしかないだろう。ティムール、俺を好きになってくれてありがとう、俺を愛してくれてありがとう、俺と…」

嫌だ、嫌だ、やめてくれっ…

「俺と出会ってくれて、ありがとう…」

ティムールにどさりと身体を預けて瞳を瞑るマクシムを涙目でティムールは見つめた。

心臓の鼓動も、
穏やかな瞳も、
大好きだった温もりも。

今はもう、何も遺ってはいなかった。

ティムールは体温が失われていくマクシムの身体をより強く抱き締めながら瞳から大粒の涙を流していく。


「…Любит вас, провел день 2 снова и не вернется, так 2 градуса. Я любил тебя. Гораздо больше, чем все остальное,. Так что пожалуйста, Покойся с миром.(…あんたを愛して過ごした日々はもう二度と戻っては来ない、そう、二度とだ。俺はあんたを愛していたよ。何よりも、ずっとな。だからどうか、安らかに…)」

 

マクシムの身体をゆっくりと寝かせ、色白くなる彼の顔を見つめながらティムールは彼の手を握り続けていた。

もう二度と目を覚ますことのないマクシムの顔はどこか安らかで、そして幸せそうだった。

 

ティムールの涙が一粒、頰を伝って落ちていく。