穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

夢のあと先(フューズ×カプカン)

【夢のあと先】


目を瞑れば、愛していたはずのお前は俺から離れていき、そして振り子のようにまた戻ってくる。

『お前が好きだ』

その言葉に嘘偽りなんて無かったはずなのに。またお前は俺の前から勝手に居なくなり、そしてまた戻ってくる。

『マクシム、お前の気持ちに嘘偽りはない、そう言ったよな?!どうしてお前は俺に嘘を付く?教えてくれよ、どうして他人の所へ行っては戻ってくる?ずっと俺の側にっ…!』

俺の言葉は悲痛な叫びになり、そしてまた胸が痛くなる。お前は俺をどうしたい、翻弄するくらいならずっと側に…。


『お前が大事だったが俺にとってお前の存在は眩し過ぎた。だから忘れたかった、だけど忘れることなんて出来なかった』

マクシムは薄い唇を噛み締めながら色素の薄い瞳を切なげに細めて俺を見つめてくる。

今にも泣きそうなその顔を見てしまえばそっと抱き締める以外の選択肢しか俺にはなかった。

それ以外、俺に選択肢は無いような気がした。この儚くて崩れてしまいそうなこの人を愛せるのは俺だけだと。

『…俺にとっても愛せるのはマクシム、お前だけだよ。だからもう、勝手に居なくなろうとするな。どんなことがあっても、俺はお前以外好きになんかならない。だからお願いだ、俺は の前から居なくならないで…』

『っ…、ごめっ…、ごめんっ…』

『いいんだ、お前が俺の腕の中に居てくれるだけで幸せなんだから。だから泣かないで、大好きだよ、マクシム…』

目を開ければ、まるでそれが現実だったかのように鮮明だった。

そう、これは夢だった…。

***


朝、目を覚ませば隣に眠るシュフラットの瞳には一筋の涙が浮かんでいた。眠り顔はまるで子どものように幼く、そして可愛らしかった。

「シュフラット、朝だよ。大丈夫か…?」

「…マクシム、マクシム…」

「甘えん坊だな、本当に」

目を覚ましたシュフラットは甘えるかのように俺の身体を抱き寄せて布団へと引きずり込んでいく。

「…夢を見たんだ」

「どんな夢だ?」

「お前が俺から離れてしまう夢だ」

抱き締めながら俺の手を握ってくるフューズの手は無骨で、だけどその大きな手の指にはめられている銀の輝きはまごうことなく俺とシュフラットの関係を象徴しているもので。

手を握り返し、俺は小さく呟いた。

「シュフラット、俺がお前から離れることはない。ありえないよ、どうしてかって?理由は簡単だ。お前が俺を照らしてくれたから。俺の暗かった未来を明るく照らしてくれたのがお前だからだよ。だからそんな不安になるなよ、どんなことがあっても生まれ変わっても俺はシュフラット、お前の隣にいるよ」

「マクシム…」

「だからそんな不安になるな、俺はお前が大好きだよ。お前は違うのか?」

「…俺もマクシムを心から愛してる」

「だったらそれでいいじゃないか。シュフラット、大丈夫だよ。朝はこんなにも穏やかなんだから。ほら、まだ早いから二度寝するか?」

シュフラットは一瞬無表情になるがそのあと屈託なく微笑んで俺に口付けを施してくる。

あぁ、愛しいってのはこういうことを言うんだな。

「…抱きしめながら寝てもいい?」

「…抱きしめられながら眠ってもいいのか?」

「あぁ、当たり前じゃないか。大好きだよ、マクシム。絶対に離してなんかやらないんだから」

それほど幸せなことはない。

シュフラット、俺はお前に出逢えて幸せなんだよ。

だから不安になんかならないで。

例えこの先、どんなに辛いことがあっても。

大好きなお前となら乗り越えられるって信じているから。


暖かな太陽の温もりが俺とシュフラットを微睡みへと誘っていく。二度寝から覚めたら少しだけ甘えてみよう。

瞳を閉じて穏やな微睡みに身を任せていった。