穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

ドクとエコーの話②

【芽生えた心】


江夏からの想いに向き合うことを決めたギュスターヴは毎日、彼の部屋に仕事が終われば遊びに来ていた。

「先生、あんたは休みの日は何をして過ごしてるんだ?」

「私か?…薬学の本を読んだり、料理をしたりしているよ。江夏くんは何をして休日を過ごしているんだ?」

ギュスターヴは真向かいに座る江夏の黒々とした瞳を見つめた。澄んだ黒の瞳は日本人特有の穏やかなものだ。

江夏は優しく笑って呟いた。

「俺か?俺は妖怪のメンテナンスをしたり日本から送られて来たアニメを見たりしてる。あ、漫画とか読んでるぜ。先生よりかは引き篭ってるな」

「そうか、君には君らしい趣味が有るんだな。いいことだ…」

マグカップに入っているゆずレモンを飲めば、あのずぶ濡れになって失恋に嘆いていたあの日を思い出す。

ジュリアンの挙式にはギュスターヴも江夏も顔を出した。幸せそうに笑う相棒を見つめるギュスターヴの瞳には少しだけ涙が浮かんでいた。

そんな出来事から早くも数ヶ月が経っていた。ギュスターヴの心にはある想いが芽生え始めていた。

「…その、江夏くん。君の想いに向き合うことを決めたんだが、まだ私たちはお互いを知らないだろう?だからこれから毎日、もっと話をしよう」

ギュスターヴは江夏の顔を真っ直ぐと見つめて呟いた。いつもみたいな真剣な表情に思わず江夏は吹き出した。

「ははっ…、キスだけは先にしたくせに、あんたって意外に純情だよな!」

「わ、悪いか?!」

「…いいや、良い傾向だと思うよ。ギュスターヴ先生、俺もあんたのこともっと知りたい。あんたの趣味とか、それ以外にもっともっと教えてよ」

「分かった、うん…、私も頑張る。君に思われている時間が心地良いんだ。江夏くん、きちんと君に伝えられるまで、もう少し時間をくれないか?」

「…待っててやるよ、あんたの為に」

「ありがとう」

ギュスターヴは江夏の顔を穏やかな表情で見つめ続け、ゆっくりと流れる時に身を任せて行った。