読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

GIGNまとめ(過去作)

1.【secret・kiss】

 

 

ジュリアン・ニザンが師であるジル・トゥーレに対して『尊敬の念』以上の気持ちを自覚したのはつい今しがたのことだった。

(…ジル、俺は貴方に恋慕しているんだ。だけどこんな可能性のない思いなど、捨ててしまえればどんなに楽なんだろうか)

ロッカールームで一人、途方にくれていたジュリアンは深くため息をついて項垂れていた。

「はぁ、まったくらしくない…」

「本当に今日のお前は弛んでるぞ、ジュリアン」

「…っ!ジル!す、すいません…」

「何か悩みがあるのなら、聞いてやる。俺は普段から元気で明るいジュリアン、お前が心配なんだ」

ロッカールームには訓練を終えて着替えに来たジルが入ってきて、よりジュリアンの心臓は緊張のために鼓動が速くなる。

(…悩みの原因が『貴方』なんて、絶対に口が裂けても言えない。叶わない、報われない思いなんだから)

ジュリアンは心配そうにこちらを見つめてくるジルに微笑んで呟いた。

「…ちょっとした恋煩いです!はは、この歳になってきちんと恋なのか、尊敬なのか。分からずにぐだぐだしていたらそれはまさしく『恋慕』だということを自覚してしまって困っていたんです。完全にプライベートなことで、すいません」

ジュリアンの言葉を聞いたジルは小さなため息をついたのと同時に、彼の隣に腰掛けて彼の頭を優しく撫でた。

「お前はまだ若い。沢山のことを学び、そして沢山の人に出会っていく。その中で生まれた気持ちだったらちゃんと相手に思いを伝えて見るといい。ジュリアン、お前は優しくて他人を思いやれる人間だ。お前に思われている相手は幸せ者だな」

ーーあぁ、こんなにも。

恋い焦がれるのが苦しいなんて。

ジュリアンは苦しげに微笑みながらジルの穏やかな視線を見つめ返した。

「…ジル、俺は貴方の背中に憧れてこのGIGNを目指して日々鍛錬を重ねて来たんです。俺の好きな相手は、貴方なんです。…自覚したばかりだし、俺は男だ。すいません、出て行きます」

ジルの言葉に我慢出来ず、己の思いの丈をぶつけてしまったジュリアンはベンチから立ち上がりロッカールームから出て行こうとする。

ジュリアンの青い瞳には涙。

「…ジュリアンっ…!」

ジルは言葉よりも行動、泣きそうな顔をしていたジュリアンに荒々しく唇を重ねてしまう。

「ふっ…?!んっ…」

ジュリアンは瞳から涙を流しながらジルからの荒々しい口づけを受け入れていった。

 


唇を離されたころ、ジュリアンはジルを睨むように見つめて言い放つ。

「なんで、何で俺なんかにっ…!」

「…お前があまりにも可愛くて、泣きそうだったから」

「ジル、俺は貴方を恋慕の対象として見ているんですよ!?…こんな、こんな報われるか分からない想いを抱いた相手からの口づけなんて拷問だ。嫌われた方がよっぽどマシです…!」

ジュリアンの言葉を聞いたジルは自身の頭をぐしゃりと撫で回し、ジュリアンの身体を引き寄せた。

「…私だって男で、ずっと面倒をみてきた奴からあんな可愛いことを言われて我慢出来るほど余裕なんてないんだよ。ジュリアン、報われないとお前は言ったな?…勝手に決めつけるのは良くないだろう」

「ジル…俺はっ…」

「ジュリアン、可愛いお前をもう一度見せてくれないか?私は仕事ばかりの堅物な男だからいい言葉が見つからない。だけど言えることはただ一つだ」

ジュリアンの身体をしっかりと引き寄せている状態でジルは彼の耳元でしっかりと囁いてた。

 

 

「…可愛いお前に惚れていたのは少なくとも私が先だった」

ジュリアンはジルの身体の中で涙を拭いながらやがてゆっくりと瞳を閉じて行きもう一度、彼からの口づけを受け入れる。

 

 

 


(…報われない気持ちなんて無かったんだ。俺は貴方を尊敬して、そして思って恋してるんだ。ジル、俺を見てくれてありがとう)

ジルの唇の体温を受け入れていったジュリアンの瞳からは一筋の涙が流れて落ちていった。

 

 

2.【想いの丈】

 

 

最近、恋人であるルークが何処か冷たくそして帰る家も同じで、就業時間も同じなのに帰ってくる時間が遅いのだ。

「私は嫌われることを何かしたんだろうか…」

リビングで淹れたてのコーヒーを飲みながら考え込んでしまう。

告白したのは私から。

『俺もあなたを大切にしたい』

青く輝く瞳と、人の良い笑顔。

私の告白に返事をしてくれた彼の表情を今でも覚えている。

…それも、今から五年前の話だ。

喧嘩だってするし、
デートだって、
キスだって、
それ以上だって。

「飽きちゃったのかな…」

ミルクと砂糖を少々加えてカフェオレにしてみた。

だけどそれはどこかほろ苦い。

あぁ、私の嫌なところだな…。

ガチャ、っと玄関の開く音が私の後ろで聞こえてくる。

開かれたリビングのドア、そこには仕事を終えて帰ってきたばかりのルークがいた。

「おかえり、ルーク」

「…ただいま」

「コーヒー淹れるけど飲む?…外は寒かっただろう、肩に雪が…」

触れようとした瞬間、ルークは私の手を振り払ってしまう。

「…っ、大丈夫だから…」

「ごめん、私に触れられるのがそんなに嫌だったんだね。私が嫌いなら嫌いと、飽きたら飽きたって言ってくれないと…」

おかしいな、瞳から涙が。

こんなことで泣くくらい、私は弱くなかったのに…。

「分からないじゃないか」

目の前のルークは私を見つめて唇を噛みながらそっと抱き締めてくる。

「…ごめん、あなたを嫌いになるはずなんてないし、飽きてもいない。冷たくしていてごめん」

「君の気持ちが分からないんだ、就業時間も同じで帰る家も同じなのに…。どうして私より帰りが遅いんだ。ルーク、何か隠しているのなら…」

「っ…!ドク、あなたを傷つけてまで隠しても仕方がないから、その、俺がずっと冷たかったり帰りが遅かった理由はこれなんだ」

抱き締められた身体は一度離されて、ルークはカバンの中から一つの小箱を取り出した。

「…これは…」

「開けてみて?」

小さな箱の綺麗な包装を解いていけば、そこには指輪が二つ。

「…前にプレゼントした指輪は恋人になって二年記念日に渡したものだから安物になっちゃったんだ。だけどこれは違う」

ルークは心なしか顔が赤い。

ももちろん、顔が赤いだろう。

「ずっと帰り遅かったのは、仕事帰りにちょっとしたアルバイトしてたんだ。近所の子どもたちに英語教えたり、スポーツコーチしたり。それでこの指輪を買うための資金をちょっとずつ貯めてたんだ」

あぁ、本当に私は…。

嫌われるとか、飽きられるとか。

そんなことしか考えていなくて、君のことを何も分かってはいなかった。

「今日は俺とあなたが出会って、あなたが俺を好きと伝えてくれた日から五年経った大切な記念日なんだ。間に合って良かったよ。…って、ドク…?!」

「私は自分が嫌われているんじゃないかとか、そんなことばかり考えていたんだ。まさか君がこんな嬉しいことしてくれるなんて思ってもいなくて」

「俺だってあなたが一番大切なんだ、それは出会ったころから何も変わってはいないよ。…ドク、好き、あなたを愛してる」

「うん、私も君を愛してるよ…」

抱き締めてくれるルークの広い背中に腕を回し、久しぶりに唇を交わす。

この熱を、
この瞬間をどれだけ待ち望んでいたことか…。

 

 

「ドク、指輪嵌めてもいい?」

「うん…」

ルークは唇を離して、私の手を恭しくとり薬指に指輪を嵌めていく。

「やっぱりあなたの指にぴったりだ。ドク、俺はあなたよりも歳下だし不器用だけどあなたを想う気持ちはだれにも負けないから」

その薬指の輝きに誓おう。

「これからもあなたの隣にいることを、どうか一生、許してほしい」

「…君以外、誰にも私の隣に立つことを許しはしない。ルーク、大好き、君だけをずっと愛してる…、愛し続ける」

「うん、ありがとう」

もう一度、唇を重ねればそっとソファに押し倒されていく。

 

 

「あなたを不安にさせた分、いっぱい抱いてもいい?…嫌だ?」

「君の好きにしていいよ、ジュリアン」

「じゃあ遠慮なく」

手を重ねながら、お互いの気持ちを再確認して熱を感じ合う。

 

 

 

 


「もう二度と、あなたを不安にはさせないよ。…俺だけのギュスターヴ」

この輝きに永遠を誓って。

 

3.【惚気は最高の肴となる】

 

 

仕事が終わったギュスターヴは少し遅れていつも酒を飲むバーに足を運ぶ。自分たちの恩人であるジル、そしてその恩人の恋人であるエマニュエルが待っているこのバーは、GIGNの皆で打ち上げをする時によく使う。

ドアを開ければ、すでにワインを何本か開けているジルと呆れた視線を彼に向けるエマニュエルの視線がギュスターヴに向けられた。

「遅いぞギュスターヴ!!俺はすでに3本もワインをだな〜…」

「ジル、みっともない所をギュスターヴに見せないで!彼は仕事が終わったばかりなんだぞ!…済まない、私が見張っていたんだが…あなたの奢りだと聞いた瞬間に」

「構わないさ、彼は私の恩人だからね。エマニュエル、君も好きな物を頼むといい。君の大事な人のおかげで、私はずっと想っていた人と両思いになることが出来たんだから」

「そう。…分かった。ありがとう」

ギュスターヴはエマニュエル、そしてジルの目の前に腰を下ろして一杯酒を口に含む。

久しぶりに口に含む酒は美味しいと身体が喜んでいた。エマニュエルはジルを見て小さく溜息をついた。

「ジルがあなたたちに迷惑をかけたんじゃないかと少し不安だった。今日その事を私は謝りたくてジルについて来たんだが。…ジュリアンは?」

同僚がいない事に気がついたエマニュエルはギュスターヴに不思議そうな表情を浮かべて見せた。

「ジュリアンなら今日は実家に帰ると先に仕事を切り上げていったよ。エマニュエル、君の気遣いに感謝する。ありがとう」

「そう言って貰えると、少し気が楽になる。しかし今日は何故私たちは集まっているんだ?何かの会議でもおっぱじめるつもり?」

その言葉を聞いたジルは隣に座るエマニュエルの肩を豪快に抱き寄せた。

「俺とお前の惚気を酒の肴にする為に集まったんだ。ギュスターヴ、俺はお前らをくっつける為に頑張ったんだから惚気に付き合って貰うぞ?!な、エマニュエル?」

「の、惚気なんて無いだろう?!馬鹿じゃないの?!」

「こらこら、そんな風に大事な人を怒っちゃダメだぞエマニュエル。ジルは本当に君が好きなんだから。さて、私は君たちの関係を良く知らないんだが…、恋人同士なんだよな?」

ギュスターヴが二人を見つめると、ジルはニッカリと笑いエマニュエルの頭をぐしゃりと撫でた。

「…恋人同士『だった』。もう少しで夫婦になるんだ。な、エマニュエル?俺との間に子どもが産まれるんだぜ。幸せ過ぎて酒が進むよ」

「…それはおめでたいじゃないか、それでジルも禁煙していたのか。最近煙草を吸っていないと皆が騒いでいたから、なるほどな」

「…ジル!恥ずかしいからバラさないでくれないか?!落ち着いたら私から皆に話そうとしていたのに!ギュスターヴ、済まない。色々と話が飛び出して来て混乱しているだろう?」

エマニュエルはギュスターヴに申し訳なさそうな視線を向ける。しかし、ギュスターヴにとって嬉しい報告が聞けただけでも充分な肴になったのだ。

「エマニュエルがお母さんでジルがお父さんか、ふふ、すごい逞しいお子さんが産まれそうだ。もし何か困ったことがあればいつでも呼んでくれ。君は大事な仲間だからな」

「ありがとう、ギュスターヴ」

エマニュエルは目を細めてギュスターヴに微笑みを向けた。ギュスターヴはそんな彼女の様子を見て思ったのだ。

(…あんなに人当たりが強かったエマニュエルが柔らかくなったのもジルのおかげなんだな…)

元々プライドが高く、人当たりが強かったエマニュエルともこうして仲良く話せるようになったのも、親友であるジルのおかげだと痛感した。

「エマニュエルと出会ったばかりのとき、まさかこんな関係になるとは思わなかった。ギュスターヴ、俺はいつも思うんだ。大切な奴が出来た時点でそいつは運命の人間だってことを。心から大切にしてやらないといけない存在がいる時、そいつは自分を変えてくれる。俺にとってのエマニュエル、ギュスターヴにとってはジュリアンのようにな」

今まで口を閉ざしていたジルはギュスターヴの顔をまじまじと見つめて呟いた。ワインのボトルはすでに五本以上転がっている中でジルは真面目な表情で話していた。

「そうか、そうだな。ありがとう、ジル。そしてエマニュエルも元気な子どもを産むんだよ?ぜひ産まれたら会わせて欲しいな。ジュリアンと私で会いに行くよ」

「…それは光栄だ、ふふ、私は素晴らしい仲間に巡り会えたようだ。ギュスターヴ、どうかあなたもジュリアンと幸せになるんだ。私たちは何があってもあなたたちの味方だよ」

エマニュエルは膨らんでいるお腹を愛しげに撫でながらギュスターヴのブラウンの瞳を見つめて呟いた。

「さて、エマニュエルにギュスターヴ、まだまだ話は尽きないぜ?エマニュエルの可愛い所とか、お互いの恋人自慢大会の始まりだ!夜はまだまだこれからだ。ってギュスターヴ、お前笑いすぎじゃないか?」

「ふふっ、私は幸せ者だなぁと思ったんだ。こんなにも仲間に恵まれて仲間の幸せな惚気を聞くことも出来た。ありがとう、二人とも。今日は語り尽くそうか、何でも話すし何でも聞くよ。エマニュエルも辛くなったら言ってくれ。私の本業はメディックだからな」

「ありがとう、ギュスターヴ。ジル、私たちも幸せだとは思わないか?」

エマニュエルに聞かれたジルは頷いて満足げな笑みを浮かべて言葉を紡いでいく。

「そうだな、俺たちは最高の仲間、恋人に巡り会えた。この出会いは運命で必然なんだと思ってる。辛いことがこの先あったとしても絶対に乗り越えられるって俺は思ってるからな。エマニュエル、ギュスターヴ、これからもGIGNの仲間として友人として恋人として宜しく頼むぞ」

「あぁ、宜しく頼む…!」

ギュスターヴにとって、この温かいやりとりはかけがえの日々の宝物になっていったのだった。

 

 

4.NEVER*ENDING*LOVE


「俺はあなた以外好きじゃない、何度だって言うよ。ドク、あなたを心から愛している」

その言葉はドクの心にじわりと流れて入り、そして優しく溶け込んでいった。

 

 

***

 

 

「私は君に相応しいのか?」

「なんでそんなことを………」

「…自信が、自分に対して自身が持てないんだよルーク」

隣に座るドクは、ルークに静かな声でぽつりと呟いた。

部屋の中で流れるのは、テレビの音声だけ。

沈黙が二人の間を駆け巡る。

(…またあなたは一人で抱え込んでいるのか、俺はあなたの恋人なのに)

夕飯を済ませ、食後の団欒のあと二人はリビングのソファに腰をかけてテレビを見ていた。

そしていきなり、ドクは『私は君に相応しいのか』などと尋ねてきたのだ。

「…相応しいとか、相応しくないとか…、なんでそんなことを言うんだよ…」

「君はいつだって、私が喜ぶことばかりをしてくれているのに。…ルーク、私は君に対して貰った分の愛情を返せるほど人間が出来てないんだ…」

ドクは普段から自分よりも周り、そしてルークを一番に優先してきたのだ。

優しい彼の性格は、時折触ったら溶けてしまうかのような繊細さを見せる。

「どうしてそんなに悩むまで溜め込んでいたんだよ!?…ドク、俺はあなたの恋人なんだ。…俺だと、頼りないから言えなかった?」

溜め込んでしまうドクの性格を理解はしていたつもりだったルークも、少しばかり頼ってくれなかったドクに対して怒ってしまった。

「こんな40歳間近にして、自分の気持ちを満足に制御できない大人なんて、駄目だろ…?」

「年齢なんて悩むことに関係あるのか、無いだろう?…どうして俺に話してくれないの、頼って欲しいんだ。ドク、あなたは高潔で優しいから言えないんだろうけど溜め込んで一人で抱え込むより……」

 

 

「俺とあなたは対等で、恋人同士なんだから……、お願いだドク。もう、一人で悩まないでほしい」

ルークはドクの瞳を真っ直ぐと見つめ、そしてそっと手を握る。

「…好きなんだ、ルーク…君が誰よりも大好きなんだ」

震える声でドクはぽつりと呟いた。

握り返した手の上には涙がこぼれ落ちる。

 

 

(…あなたは本当に… )

可愛い人だ、と心の中でルークは呟いた。

「ドク、俺もあなたが大好きだ」

テレビを消し、部屋には二人の呼吸音だけが流れている。

ルークは涙を拭いながら、そっとドクを抱き締める。

「…私は君に迷惑なんかかけたくなくて、不安にさせたくなくてずっと溜め込んでいた。無条件で好きでいて貰えるほど私は人間が出来ていないんだ……」

「…あなたは自己を卑下しすぎだ、相手を想うのに条件なんて有るわけないだろ。…ドク、俺は誰よりも大好きなんだ。他の誰よりもあなたを愛している」

ルークは強く強くドクを抱き締める。

抱き締めれる腕の中、ドクは心の中で思う。

(…ルーク、私もだよ…)

涙が出すぎて、うまく言葉が出ないドクは言葉を伝える代わりに腕を背中に回す。

「そんなに泣かないで、あなたに涙は似合わないよ?…うん、ドクには穏やかな笑顔が一番似合ってるから」

ドクの頭をルークは優しく撫でていた。

泣き終わるまで、ルークの腕の中にドクはずっといた。

 

 

***

「…済まない、これからはきちんと何かあったら君に相談を必ずするから」

「…あぁ、一人で絶対に悩んで欲しくないからね」

 

 

寝室へ移動し、
落ち着いたドクはルークに甘えるかのようにぴったりとくっつき、離れようとはしなかった。

「ドク、いつもより距離が近いね」

「…あんなに泣いた後だから、君の近くにいたいんだ。駄目…かな?」

(…やばい………………)

いつもよりも、ルークに甘えてくるドクが可愛くて仕方ないルークは、そっとベッドへ彼を押し倒す。

「…ルーク、したいの?」

押し倒されたドクはルークをいつもの穏やかな瞳で見上げた。

そこには、
欲情の色もありありと浮かんではいたが。

「こんなにも可愛いあなたが目の前にいるのに、襲わない男なんて………」

耳許で、深く深く呟く。

「…いないよね?」

ルークの声はドクの身体と心に熱を持たせるのには十分すぎるものだった。

「私も、君が欲しい…。いいよ、好きにして」

ドクはルークの青い瞳を、
欲情した瞳で見上げる。

「…覚悟してね、悪いけど手加減はできないから」

 

 

***

 

 

気がついたらルークはドクに呼吸が苦しくなるくらい、深い口づけをしていた。

(…キス、好きだな………)

舌を何度も吸われ、そして唇を甘噛みされたドクはもう、ルークをひたすら求めるかのように、舌の動きを彼に合わせる。

ルークはドクの唇から自身の唇を離すと、首筋を強く吸い上げる。

「…っ、ちょルーク…」

「あなたは俺だけの恋人だから、シルシくらいいいよね?」

紅く鬱血している、ドクの首筋をみてルークは煌々と微笑んだ。

欲情して、求めているときにしか見えないもう1つの『男の顔』をルークは浮かべていた。

(…君のそんな表情も、私は大好きだ)

ドクは心の中で呟いていた。

 

 

そしてルークはドクの下半身に優しく手を伸ばし、撫で上げるように触れる。

「…まったく、あなたはキスだけでこんなになるんだね。すごい可愛い…」

「ルーク、君しか私にはいないから…」

「当たり前だよ、ドク」

ルークからのキスだけでドク自身の昂りは、ゆるゆると質量を増していた。

「…直接、触るね」

そう囁くと、ルークはドクのズボンと下着を取っ払い直接、手で昂りを握る。

「…っ、ルーク………、」

「どうして欲しい?言ってみてよ…」

手で昂りに触れながら、ルークはゆっくりと上下にグラウンドさせる。

「…強く、少し早く擦って……」

「うん、可愛い…」

ルークはドクの『感じるところ』を存分に知っていた。

重点的にそこを攻めてあげると、ドクの口から口から甘い声しか出てこないのだ。

(すごい、濡れてる………)

ドクの昂りからは先走りの蜜が出てしまっていて、ルークはそこをぐりぐりと刺激する。

「…や、ぁ、る、ルークっっ……」

「濡れてるね、辛くない?大丈夫?」

「…で、出る…………、一度、達したいっ………」

泣きそうな顔で懇願されたルークは優しい笑顔をドクに向けてキスをする。

「…いいよ、ドク………、出して………」

ルークはドクの感じてしまう部分を何度も刺激し、そしてドクを達する。

 


「…いっぱい、出ちゃったね」

「…る、ルーク………、早く君を…」

ドク自身から放たれた白濁色の液体を綺麗な拭き取り、ルークは昂りを受け入れるところを解す。

指と、受け入れるドク自身の身体にローションをたっぷりと塗りたくる。

「…指、入れてもいい?」

「んっ…………」

ドクはルークの声を聞くのが精一杯なようで、空返事しかできなかった。

ルークは指でほぐしていき、
三本まで指を入れて受け入れられるように、丹念にならしていく。

「…すごい、ひくついてる………。ドクはいやらしいね」

「…や、やめ、て。そんな、そんなことっっ…ぁ、あ…」

ルークが指を動かすたびに部屋の中にはぐちゅり、という水音だけが響き渡る。

(…そろそろ、いいよね…)

「ドク、俺を受け入れて…………」

「…ん、んぅ………っ」

ルークは昂りをドクにあて、そっと押し進める。

(…ルークの、おっき…い)

最後まで入りきり、ルークはぎゅっとドクの身体を抱き締める。

「…辛く、ない?」

ゆっくり動きながらドクを見つめると、ルークの顔に手を伸ばし、うっとりとドクは微笑んだ。

「…き、気持ち良い……,もっと動いてほしい…っっ」

…ぷちん,とルークの中で何かが弾けた。

(…無理だ、手加減できない……)

「…悪いけど、我慢しないからっ………!!」

 

 

ルークはドクに自身の昂りを強く強くドクの中へ出し入れする。

出し入れされるたびに粘着質なぐちゅり、という音が響き渡る。

卑猥な音は二人の欲情を掻き立てるのには充分だった。

「…ど、ドク………俺もうっ……」

余裕の無い表情と声音が高ぶらせる。

「…わ、私も…………」

ドクの中で、ルークの昂りは質量を増していく。

 

 

 


「…あなたの中で達してもいいか……?」

「…い、いいよ…っ……」

「ドク、愛してるっ……、あ、だ、駄目だ……もう、無理………」

「…わ、私も君を愛している…………」

ドクはルークの熱が自身の中で弾けるのをしっかりと感じ取っていた 。

 

 

***

 

 

「久しぶりに無茶をさせてごめん」

「…いや、大丈夫……」

ベッドの中で二人は寄り添うように横になっていた。

(…気持ち良かったな)

ドクは心の中で沁々と感じていた。

そんなドクを見てルークは、ちゅっと頬に口づけをする。

「あなたはやっぱり可愛い。俺はあなたが誰よりも大事だけど、本当に側にいてくれてありがとう」

「…ルーク、それは私の台詞だ…」

ドクはベッドの中で、泣きそうになるのをそっと堪える。

(誰よりも自信のない私を見てくれてありがとう…………)

ルークは泣きそうになっているドクに気がついたのか、そっと抱き締めた。

「…嬉し涙だったら、何度だって泣いていいからね」

「うん、君が大好きだって考えたら胸が苦しくて痛くて………。嬉しくてたまらない」

「本当にあなたは……」

 


「可愛い人だよ、ドク…」

温かい体温にそっと包まれた、心地のよい眠りに落ちていく。

…ドクは願う。

ずっとこの温もりの中に居たいと。

愛しい人の隣に立ち並びたいと……。

(…終わらない愛を…)

 

 

ゆっくりと夜が更けて、
そしてまた夜は明けていく。

 

 

5.【bitter*〜可愛い軍医さま】

 

 

季節は2月、バレンタインデー。

GIGNの若き隊員、ジュリアン・ニザンは両手に紙袋を2つ持って医務室へと急いでいく。

「ギュスターヴ…!食べきれないから差し入れ!…って、あなたもたくさん受け取ったのか?」

「あぁ、ジュリアンか。…そうなんだ、色んな人から貰ったのはいいんだが私は甘い物が苦手でね。『相変わらず』、君は他人からの贈り物を断るのが不得意なようだね」

ギュスターヴは少し拗ねているのか、ジュリアンをちらっと見つめて医務室のデスクに目線を落とす。

バレンタインデーになると、GIGNの中で特にモテるのがギュスターヴとジュリアン、この二人だ。

性格上、他人からの贈り物を『NO』とは言えない二人は毎年同じくらいのチョコレートを受け取っている。

ジュリアンはギュスターヴの拗ねた顔を見つめて小さな笑みを浮かべた。

「…俺はまだ、『本命』を貰っていないんだが…。ギュスターヴ、俺には無いのか?」

目の前に座り、ニコニコと微笑むジュリアンの青い瞳は期待に満ち溢れていた。ギュスターヴは小さくため息をついて、カバンから箱を取り出した。

「まったく君は…、『待て』が出来ないのか?後で渡そうと思っていたのに。毎年毎年、私という存在がいるのに他人から物を受け取るなんて…!んっ…?!」

ギュスターヴの手を取り、ジュリアンは彼の唇にキスを仕掛ける。それと同時にジュリアンはギュスターヴの口にほろ苦いブラックチョコレートを食べさせた。

「ふっ、…ん、ジュリアンっ…」

「…来年からは受け取らない。だからギュスターヴ、俺からもお願いだ。あなたも俺という存在があるのに他人から物を受け取らないで?俺からの細やかな抵抗。本当はギュスターヴ、あなたが甘党で苦いもの苦手なことくらい知ってるんだから」

口の中で溶け合うブラックチョコレートはジュリアンの『抵抗』だった。唇を離されたギュスターヴは顔を真っ赤にしながらジュリアンを見つめる。

「…これが君からの本命?」

「きちんとした贈り物は夜に家で渡すよ。…あなたからの手作りのチョコレート、きっと甘いんだろうね。毎年毎年、糖度が増してる気がするよ」

「…悪いか?」

「悪いと思うのなら、俺はあなたから受け取らない」

「きょ、今日の君は何だか意地悪だ!」

「…夜、たくさん甘えさせて上げるから。楽しみは夜まで待っててね、俺だけの先生」

「仕事終わったら、一回帰るから…!」

「何で?」

「…今日の夜はジュリアン、君の家に泊まるから。荷物取りに行くだけだよ、まったく。本当に甘いのはどっちなんだか」

「ギュスターヴ、好きだよ」

「….私だって君が大好きなんだから…」

抱き締められた腕の中、ギュスターヴはジュリアンに対しての『大好き』という気持ちを再確認していった。