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カプカンとグラズのお話(過去作)

 

 

『カプカン、俺、あんたが好きだ…、この気持ちをどうしても伝えたくて。気持ち悪いよな、ただの同僚なのに。返事は要らないさ。済まない…』

目の前で寂しそうに青い瞳が細められるのを見てしまうと、彼の心はぎゅうっと締め付けられてしまう。

【love the inght】


「….ったく、俺にどうしろってんだ」

夢を見てしまう。
それは数日前に同僚であるティムール・グラズコフから告白をされてしまってから、何度も同じ光景を夢に見てしまう。

マクシム・バスーダは眠りが浅い。
弟のような存在であったグラズから告白をされてから、尚更浅い眠りに拍車がかかってしまったようだ。

気怠い身体を引きづりながら、
ベッドから抜け出て自身の部屋に備え付けられている冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、口に含む。

「まったく、まだ夜中じゃないか」

もうこれは徹夜で起きてるしかないか?

ミネラルウォーターを飲み干し、
ゴミ箱にペットボトルを投げ入れれば、彼は部屋の外の空を見上げた。

満月は綺麗だ。
きっとこんな夜中に起きてる奴なんていないだろう。

(…どうせ寝れないのなら、宿舎の外に散歩にでも出るか…)

マクシムはハンガーにかかっていたパーカーを手に取り自室から出て行くことにした。


***


真夜中の宿舎の外は僅かに冷え込み、冷たく吹く風がマクシムの頬を掠っていく。

世界の特殊部隊員が集まるレインボー部隊の宿舎は広い。まだ配属されて日も経っていないマクシムは眠気覚ましに散歩へと赴いた。

(…本当にこの宿舎は無駄に広いんだな。ベンチ、ベンチと…)

マクシムは自室で煙草を吸う事はしないが、たまに、何かに悩んだりした時にだけ喫煙をする。

そんな、座れて煙草の吸える場所を求めて外を彷徨えば丁度いいスペースがあった。


(誰か、居ないか…?)

こんな真夜中に、誰も居ないはずなのに、自分が座ろうとしていたベンチにはすでに先客がいた。

「おい、部外者は基地への出入りを禁止されてるっ…て、お前…」

声をかければ、スケッチブックを手に持った1人の青年がベンチに腰を下ろして空を見上げていた。

「…カプカンか?奇遇だな、夜の散歩か?」

目線は空の方を見ていた状態だったが、その人物はマクシムの顔を見ずにコードネームを言い当てた。

「グラズ」

先客だったのは、自身に数日前に告白をしてきたティムール・グラズコフだった。彼の瞳はやがて真夜中の空から、マクシムの方へと向けられた。

「座るなら、隣どうぞ?」
「…あ、あぁ。悪いな」

マクシムはティムールに隣に座ることを勧められ、腰を下ろすことにする。

ティムールはスケッチブックに何かを描いていたようで、それをまじまじと見つめていれば、彼は恥ずかしそうにそれを閉じてしまう。

「グラズは絵を描くのか?」

純粋に疑問に思ったことを口に出して呟けば、ティムールの青い瞳は優しい輝きを持ったまま細められた。

「あぁ、俺の唯一の趣味なんだ。立派なものじゃないんだけれど…。そ、そんなことよりカプカンは何でこんな所に?」

ぱっとティムールはマクシムから目線を逸らしてしまう。その動作にマクシムは心なしか、少しだけ寂しさを感じてしまった。

マクシムは懐から煙草とジッポを取り出して、一本の煙草に火を灯して空を見上げた。

「寝れなくてな。ここ最近、ずっと同じ光景を夢で見てしまうんだ。…グラズ、お前は…」

二人の間に流れるのは沈黙で。
深緑は彼の青に静かに溶け混むかのように視線を注いでしまう。

「どうしてお前は俺に『好き』だと言ったんだ。それも返事は要らないって、随分と甘く見られたものだ。俺はお前の所為で浅い睡眠が更に浅くなった」

マクシムの言葉、そして注がれる視線にティムールはぐしゃりと顔を歪めて、苦しそうに言葉を言い放つ。

「…仕方ないじゃないか、俺はずっとずっとあんたが好きだった。だけど俺もあんたも男で、だけど好きになっちゃったものはどうしようも出来ないだろうっ…!!」

青色の瞳からは、暗い空の下でも分かるくらいに大量の涙が流れ出てきてしまっている。

(…こいつは本当に馬鹿な奴…)

煙草の火を消せば、マクシムはティムールの頭を何度か大きな手で撫でてやる。そんなことをされてしまえば、ティムールの顔は真っ赤になってしまう。

「俺は人の涙に弱い。勿論、それが大切な奴なら尚更だ。グラズ、俺は数日前にお前から『好きだ』と言われて真剣に考えて見た。…真剣に考えていたのに、返事は『要らない』。これは酷いよな」

「そ、それは…」

「…俺はお前と正反対の生き方しかしてこなかった。本当に人を愛したり好きになったこともない。だけれど、お前の真っ直ぐな瞳にいつの間にか」

マクシムはティムールをそっと抱き寄せて、静かに呟いた。

「俺は惚れてしまっていたのかもしれんな。だから返事を『要らない』なんて寂しいこと言うんじゃない…」

その言葉を聞いたティムールはマクシムの腕の中で、年甲斐も無く、ただただ静かに泣いていた。

「カプカン、俺はずっとずっとあんたを見ていたんだ、スペツナズに配属された時から分からないけど…、好きになってしまったんだ」

「…それに気がついてやれなかった俺もまだまだ甘いかもしれんな。グラズ…」

真夜中の空の下、マクシムは深緑の瞳をティムールの青い瞳に向けて静かに顔を引き寄せた。

空の下で満月の輝きが、折り重なる影をそっと見守っていた。

 

 

2.【love the over】


同僚と恋人という関係になってから約一月半。カプカンの部屋にグラズは休みが合えば頻繁に遊びに来るようになっていた。

共同宿舎の部屋は各個人に一部屋ずつ割り当てられており、カプカンもグラズも部屋は隣同士なのだ。

非番のグラズは恋人のカプカンの部屋に行くときは必ずラフな私服で遊びに来ていた。

「カプカン、入ってもいいか?」
「あぁ、どうぞ」

グラズがカプカンの部屋に遊びにくれば、シャワーを浴びたばかりなのか、彼は猫耳のついた黒いパーカーと、スウェットというラフな格好でベッドに座っていた。

(…可愛い…、何というか意外な部分を見つけた気がする。年齢は俺よりも歳上だよな…)

カプカンの部屋着をまじまじと見つめている視線に気がついたカプカン本人は、グラズを見てククッと喉を鳴らして微笑んだ。

「そんなに俺の格好が意外なのか?本当にお前は分かりやすいよな」

「ご、ごめん…!その、あんたが猫耳のデザインってなんだか新鮮だなぁと思ってさ。あ、隣座ってもいいか?」

「…構わないさ、来いよ」

グラズはカプカンの隣へ腰を落とす。
カプカンの隣に座れば、グラズの鼻腔には石鹸の香りがふわりと広がる。

ずっと想っていた人が隣にいるだけでも、グラズにとっては十分すぎる幸せだった。

グラズはカプカンの手に、そっと自身の手を重ねて映るテレビの方へと視線をずらした。

カプカンの部屋に響くのは、
グラズの緊張した鼓動の心音とテレビの音声だけだった。

そんな様子に気がついたカプカンは、
グラズの手を握り返して彼の顔にそっと手を伸ばす。

「…グラズ、お前良く見ると綺麗な瞳の色してるんだな。可愛い奴、そんなに緊張するなって。ん?」

「カ、カプカン近いって…」

「良いだろう、俺とお前はただの同僚なんかじゃない。あの日から『恋人』になったじゃないか、ティムール…」

そう言うと、カプカンはグラズの顔を思い切り引き寄せて唇を強引に奪ってしまう。

「…んっ…」

声にならないグラズの声と、それを塞ぐようにカプカンは深い口づけを彼に施した。

 

「初々しいな、本当に」

「い、いきなり唇を奪うなんて…、強引じゃないか!!全く…」

唇を離されれば、カプカンの深緑の瞳はグラズの青色を射抜くように見つめていた。その瞳は何処か嬉々とした色を浮かべていた。

「可愛いお前が悪い。可愛いグラズが悪い」

「…カプカン…、あ、あんたの猫耳だって。あ、そうだ!!仕返しだっ…!」

グラズは思いついたようにカプカンへ思い切り抱きついて、彼の猫耳パーカーのフードを被せる。

「似合う、普段から任務の時にずっと深くフードで被ってるから分からないけど、被り物が似合うな」

「…これは、この部屋着は下の兄妹が俺の誕生日に贈ってきたものだ。妹の趣味なんだ、断じて俺の趣味じゃないが、サイズがぴったりだから無駄にしてないだけだ。…って、お前は何笑ってんだ」

カプカンの言い訳を、グラズは楽しそうな表情を浮かべていた。グラズはカプカンが家族思いで、根が優しい人間ということを誰よりも知っていた。

「俺、あんたのことスペツナズに入った時からずっと好きだったけど、家族思いで絶対に仲間を見捨てない強い心に惹かれたんだ、恥ずかしいけど、今の話を聞いて俺はさらにカプカンを好きになった…うん」

普段、グラズは他の仲間やレインボー部隊の同僚に対しては愛想は良いが、自分から進んで話したりはしない、少し内気な性格なのだ。

そんな一生懸命に話をしてくれる恋人が、可愛く見えないわけないじゃないか。

「グラズ、そんなに俺が好きか?」

「わ、悪いか?」

「俺もお前のこと更に好きになった。家族の話とか一生懸命聞いてくれるし、楽しそうに話すお前がすごく今、可愛いって思ってる。そうだ、グラズに渡したい物があったんだ」

カプカンはベッドから身体を起こして、衣類が入っているだろうクローゼットからラッピングされた袋を手渡した。

「…俺に?」
「やるよ、お前が多分喜ぶ物だから」

グラズもベッドから身体を起こし、
カプカンから渡された袋を開ければ、そこには紺色のニット帽。しかも猫耳付きだ。

「…ありがとう、プライベートで使わせて貰う。今被っても良いか?あんたとお揃いだ」

「見せてみろ」

カプカンはグラズが普段使いできるニット帽を探していたことに気がついていた。

カプカンは非番になると、たまに出かけてはグラズに似合いそうなニット帽を探していたそうだ。

「に、似合うか?」

グラズは恥ずかしそうにニット帽を被り、青い瞳を揺らしながらカプカンを見つめた。

「…グラズ、お前最高だな。よし、記念に写真撮ろう。そこにある携帯取ってくれ」

「あ、あぁ…、もう、何だか恥ずかしいじゃないか」

カプカンはグラズの肩を抱き寄せて、
二人で記念に写真を撮影した。その写真に映るグラズの顔は林檎のように赤かった。

「俺の待ち受けにさせてもらうよ、可愛い猫耳グラズ」

「す、好きにしてくれっ…!」

(俺だって、この猫耳パーカー着てるカプカンの写真待ち受けにしてやるんだからな…、カプカン、大好きだ…)

二人は互いに見つめ合い、
そして微笑みを交わす。

二人の間に流れるのは、穏やかな恋人たちの時間だけだった。

 

 

3.【love the heart…】


「抱いて欲しいんだ、あんたになら抱かれても構わないっ…」

顔を赤らめながら歳下の恋人は青い瞳を潤ませて俺を見つめてくる。その瞳に映るのは、俺の無表情な顔と欲情した熱だけだった。

「…男同士のやり方をお前は知っているのか、グラズ」

二人分の体重が、ベッドの上でギシリと音を立てる。グラズの近くに近寄って首に触れればピクリと身体を震わした。

「お、俺は今まで誰かに触られたことも無ければ、そういう不埒なことをしたいと思ったことは一度も無いんだっ、カプカン、あんたが初めてなんだ」

「そうか、ならば…」

俺はグラズの首筋に唇を這わせ、
耳元で低く、そして甘く言葉を囁いた。


「俺が教えてやるよ、ティムール?」

…思い切り、グラズをベッドへと深く深く沈ませて溺れさせることにしたのだ。


***


「ふっ…あっ、カプ、カンっ…」

「気持ち良いんだろう?こんなに硬くして…、いやらしいな」

「そ、そんなことっ、ないっ…」

「嘘は良くないだろう?ティムール、お前、乳首こんなにおっ立てて…。そんなに吸われたいか?」

上半身裸の状態でベッドに2人、身を沈めてしまう。グラズの上半身はベッドの横に置いてある簡易照明でも分かるくらいに色が白い。

乳首を指で弾けば、本当に初めて触れられているのか分からなくなるくらいにグラズは甘い声を口から漏らす。

「す、吸われてみたいと言えば吸ってくれるのか?…俺は女性じゃない、母乳は出ないぞっ…?」

「…お前は本当に天然だな、色んな意味で」

「ど、どう言う意味だっ…、ふっ、あんっ、強く吸わないでっ…!」

グラズは良くも悪くも天然だし、歳下で本当に可愛いと思っている。だからこそ、俺はお前を虐めたいのかもな。

「そんな声を漏らすということは気持ち良いんだろう?悦んでるならもっと啼けよ、ティムール…」

「や、んっ…!痛い、ジンジンする、嫌だっ…」

俺がグラズの乳首を指で弄び、甘噛みして吸い上げたせいでだいぶ敏感になってしまったようだ。

…可愛い奴だよ、本当に。

トロンと蕩けたような青い瞳で俺を真っ直ぐと見つめるグラズは本当に攻め甲斐があるってもんだ。

グラズの下半身に目を落とせば、
ゆるゆると熱を持ち、興奮で勃ち上がっているのが良く分かる。

「グラズ、お前本当に初めてか?乳首攻められただけで勃たせてるなんて淫乱なんじゃないのか」

「ち、違うっ…、俺はあんたにされてるから…興奮、しちゃったんだ。お願いだカプカン、俺のこれ、触ってよ…っ!」

泣きそうに揺れる瞳を見れば、俺の中に眠る情欲の炎がようやくゆらりと姿を現し始めた。

「…仕方ない、もっとお願いをして見ろよティムール。『気持ち良くして下さい、お願いします』ってな」

グラズの顔は羞恥の色で赤く染まっていたが、青い瞳からは涙が流れることはなく、俺の瞳を潤んだ眼で見つめてくる。

「…カプカン、お願いだっ…、触って俺を気持ち良くしてっ…?」

あぁ、駄目だ。
俺の中の僅かな理性が音を立てて崩れ去ってしまう。

「触ってやる、泣いても止めてなんかやらないからなっ…!!歳上を煽った責任取って貰うぞティムール…!」


***

熱を持ったグラズの性器を下着から取り出し、手の平で緩急を付けながら扱いてやればグラズの口からは嬌声だけが漏れ出てくる。

「…はっ、んぅ、カプ、カン!気持ち良いよっ…」

「お前淡白そうに見えるけど、知ってるぜ?ティムール、お前が俺の名前を呼びながら一人でしてることくらいな、壁薄いからな。隣部屋が俺で良かったじゃないか」

「う、嘘っ…!やぁ、んっ、そんな意地悪言わないでっ…」

「お前、本当はとてつもなく淫乱だろ?ほぼ毎日持て余している欲を一人で発散してることくらい、俺にはお見通しだ。…さて、そろそろか?」

「…カプカンっ、出ちゃ、もう出るっ…、!」

しかし、グラズの精が吐き出されることはなかった。理由は簡単だ、寸止めしてやったからだ。

「な、なんでイかせてくれないんだよっ…、ふぇっ…」

苦しそうに呟くグラズの声は本当にそそられるものがあるよな…。

「簡単にイッたらつまらないだろう?そうだな、グラズ、お前自分でして見せろ。そしたら出しても構わん」

「う、ん…」

グラズはおずおずと自身の性器を握り込み、扱き始める。羞恥で真っ赤に染まる顔は本当にたまらない。

…もっと俺を煽れ、もっとだ。

「俺に触られてること想像しながら自慰してたんだろう?いやらしい身体してるな」

「…意地悪っ、カプカンの意地悪っ…」

「意地悪?何を言って居るんだよティムール、俺は意地悪なんかしてない。お前がいやらしくて淫乱な身体してるのが悪いんだ」

「〜〜…はぅっ…、出、るからっ、カプカン、言葉責め嫌っ……!!」

グラズは喘ぎながら己の手の中に白濁とした欲を大量に吐き出し、どこかうっとりとした色を瞳に浮かべていた。

「…可愛い…」

達したグラズは艶っぽく、
思わず心に浮かんだ本音を呟いてしまった。

「馬鹿っ…、あんな、あんな恥ずかしいことさせるなんてあんたは意地悪、鬼畜だっ…!!」

「自分から抱いて欲しいと望んで来て『鬼畜』は酷いな。…グラズ…」

目の前の恋人の愛しきコードネームを呟いて、唇をそっと重ねてしまう。俺はきっとこれからもっと、歳下の恋人を啼かせることになるのだから。


「…お前が欲しい。だから頼む、少し我慢してくれ…」

「…んっ…」

俺はグラズをしっかりと抱き寄せてからもう一度だけ唇を深く深く重ねた。


***

「…冷たっ、何これっ…」

「このままだと裂けてしまうだろ?大丈夫だ、気持ち良くしてやるから俺に身を委ねろよ。グラズ…」

これから俺自身をグラズに受け入れて貰うために、最終準備へと取り掛かる。ベッドの近くにあったジェルをグラズ自身の入り口に流し込み、指を一本だけ押し込む。

「…や、やだっ…気持ち悪いっ…」

異物感にグラズの青い瞳からは涙がポロリと零れ落ちてしまう。あぁ、お前にそんな顔させたい訳じゃないのに。

「少しだけ我慢してろっ…」

耳たぶをチロチロと舌で愛撫しながら奥のシコリを見つけ当てる。あぁ、此処か…。

「〜〜…んやぁっっ!?カ、カプカンっ、なに、これっ…」

「そんなに気持ち良かったのか、通りで2本目がすんなり入るわけだ。ぎゅうぎゅうに咥えこんでくる。…早くお前の中に挿れたいよ、グラズ」

「…目がチカチカする、2本目っ…?!嘘っ…」

快楽のツボを見つけてそこを押しつぶしてしまえばグラズはただただ喘ぐだけで精一杯のようだ。

そして指は余裕で2本咥えこんでいた。卑猥な水音がぐちゅりと部屋内に響き渡れば、それはもう淫雛な世界の出来上がり。

あぁ、
俺の下半身が疼いて仕方ない。
お前が欲しくて欲しくてたまらない。


「グラズ、挿れても良いか?」
「…来ていいよ、カプカン…っ」

自身をゆっくりとグラズの中へと
挿入していく。グラズの顔は少しばかり苦痛の色で歪んでいた。

「…くっ、んっうぅ…」

「あぁ、お前ん中温かいなグラズっ…」

そっと色素の薄い、柔らかな髪を撫でてやればグラズは少しばかり苦痛の色を和らげる。

「気持ち良いのっ…?」

「…聞かなくても、分かるだろう?好きな奴抱いてんだ。気持ち良くない訳無いだろうっ、…そんなに締め付けるなよ」

「だ、だってカプカンのが大っきいのが悪いっ…、ふぁっ、やんっ…」

「可愛いな、本当にっ…!くそ、優しくなんてしてやれる自信が無い、グラズ。悪いがもう少し、激しくさせてくれ…」

「え…?…っ、ん、激しいっ…、そんな大っきいの無理だからっ…!」

「『無理』なんて通用しない。…グラズ、良く見ておけ。今お前を初めて抱いているのはこの俺だっ…、くそ、お前の中の締め付け、最高過ぎるだろっ…」

腰を深く深く打ち付ければグラズは声にならない快楽に突き落とされ、そしてまた、俺もそろそろ『限界』を迎えそうだったのだ。


「…グラズっ、好きだ。お前が好きだから…っ」

「…んぁぁっ、や、激しっ、俺もあんたが好きだっ、もう駄目、またイッちゃっ、…!!」


ぎゅうぎゅうと締め付けるグラズの中へと己の熱を解き放つ。そして恍惚とした表情を浮かべていた恋人へ深く深く唇を重ねて、グラズを強く掻き抱いた。

 

***


「…意地悪ばかりして悪かった」
「別に謝らないでよ、俺が望んだことなんだから」

初めて恋人を抱いた後だから、
何とも言えない空気が俺とグラズの間に流れていた。

腕枕をしながら青い瞳を真っ直ぐと見つめれば、いつもの無垢な色がそこにはあった。

「…本当に俺、30年近く生きてきたけど人を好きになったのも、こんなにも強く求めたのもあんたが初めてなんだよ、カプカン」

「そうか、なら俺は本当の意味で人を好きになって愛したい、抱いてやりたいと思ったのはティムール、お前が初めてだが…。どうだ、俺の方が愛が重いだろう」

青い瞳の下の頬はぱぁっと赤くなっていく。駄目だ、何もかもが可愛く見えてしまうじゃないか。

「重い愛なら幾つでも欲しいよ、カプカン。俺は本当にあんたを愛してるから」

「…お前は本当に可愛いよ、俺だけの
Симпатичный любитель…(可愛い恋人)」

温もりと、愛情が心地よく混じって
俺たち二人の間に溶けて行ったのだった。