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穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

バンディットとイェーガーの話

【一歩】


「幸せになろうとするなら俺を好きになんかなるな。イェーガー、俺は誰も信じちゃいないんだ。だから俺を好きになろうとするな」

ある任務で潜入している小屋の中、バンディットとイェーガーは血に汚れた状態でお互いの顔を見つめ合っていた。

手に握られたP12の弾はまもなく底を尽きる。メインウェポンの弾は当に弾切れだった。

死を覚悟して就いた任務は生きて帰れるだけで一生暮らせるだけの報酬が貰えるという。

イェーガーもバンディットも、とにかく報酬なんかよりも仲間が待つ基地へと帰りたい。

そんな思いでいっぱいだった。

しかしP12の弾が底を尽きかけた瞬間、バンディットは死を覚悟したのかイェーガーにぽつりと言葉を漏らした。

「…バンディット、俺は別にお前なんか好きじゃない。自意識過剰なのはどうかと思うが」

「はっ…、こういう時くらい可愛いこと言えっての。生きて帰れる保証なんてどこにもないんだから。イェーガー、俺が死んだら逃げろ。お前だけでも生きろ」

「バーカ、死ぬのも生きるのも、お前と一緒じゃないとつまんないぜ。バンディット、俺に手を差し伸べて明るく照らしてくれたお前を守らせろ。生きて帰れたら、そうだな…」

イェーガーは口元に弧を描いて「くくっ」と小さな笑みをこぼして呟いた。

「好きなだけ抱かせてやる。だから今は生きることを考えよう。…大丈夫だ、俺とお前なら出来る。バンディット、諦めんじゃねぇ」

「…そうだな、あぁ、とにかく今は…」

そう、とにかく今は生き延びることが最優先だ。

弾の底が尽きかけたP12を二人は共に握り締めて背後から忍び寄る敵に向けてトリガーを引いていく。


自然と怖くはなかった。

隣には苦楽を共にしてきた相棒が居るのだから。

あと一歩、もう一歩だ。

バンディットとイェーガーは駆け抜けて行く。

もう何も怖くはない。

そう、大切な相棒が近くに居るのだから。