穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

儚くも、お前は…

【儚くも、お前は…】


朝、目を覚ませばベッドに有った温もりが消えており、フューズの背中には冷や汗が流れていた。

(…カプカン…?!)

ベッドから出てリビング、そしてテラスへ足を伸ばせば夜明け前の空と同調するかのように、カプカンはテラスで煙草を吸って空を切なげに見上げていた。

「…フューズか、どうした?」

「…お前が勝手に居なくなったのかと思って焦った。カプカン…、お前は…」

「煙草くらい、自由に吸わせてくれよ。後、勝手に居なくなったりはしないから安心しろ」

煙草を消しながらカプカンはフューズに儚げな笑みを向ける。フューズはそれに惹かれるようにテラスへと足を進め夜明け前の空を見上げた。

フューズとカプカンはかつて、ただの身体の関係…、『愛人契約』を結んでいた。お金を払いカプカンを抱くだけのフューズと、お金を受け取り抱かれるだけのカプカン。

二人を結んでいたのはお金と欲だけだった。

しかし一番最初にフューズに惚れたのはカプカンだった。気がつけば快楽ではなく欲していたのはフューズの心、そして愛情だった。

『お前に抱かれるのはこれが最後だ』


半年前、何も言わずにフューズの目の前から居なくなったカプカンをフューズは決死の思いと覚悟で探しだし、自身の手元に留まるように説得したのだ。

『あんたを心から愛したい、身体だけなんてごめんだ…』

『…それはこっちの台詞だよ、カプカン…』

二人が本当の意味で結ばれてから早くも半年が過ぎていた。フューズが眠っている間にカプカンがベッドから抜け出すと、未だにフューズは不安に駆られてしまう。

…二人で見る夜明け前の空は儚くも綺麗だった。夜空と始まりの朝日が混じり合ってコントラストを生んでいく。

「…なぁ、フューズ」

カプカンは小さくフューズと呟いた。フューズは隣に立ち並ぶカプカンの横顔を見つめて彼の肩を抱き寄せる。

「どうした?」

「俺がお前の隣に立ち並ぶのは奇跡だと、ずっと前にお前は言ったよな?俺が勝手に居なくなるんじゃないかと、お前は不安に駆られているんなら…、それは余計な心配だよ」

カプカンはフューズの唇にそっと顔を寄せて自ら唇を重ねて目を瞑った。フューズはそっとカプカンの唇に舌を割り込ませて絡ませていく。

熱い吐息はお互いの唇から漏れていく。


「…カプカンっ…!」

「俺は自分自身の意思でフューズ、お前の隣に居るんだ。だから余計な心配はするな、お前だけを見てるんだ、ヨソ見はしていない。安心しろ」

「…この幸せが本当に続くのか心配だった。俺の隣に居ることでお前が不幸になっているんじゃないかと不安だった。…だけどそれは余計な心配だったみたいだな」

儚げな空は朝を迎えるためにキラキラと空に輝きを帯び始めていた。まだ外は寒い。フューズはカプカンの腕を掴んでベッドルームへと彼を連れていく。

「…何するんだ?」

「寒いだろう、温めてやる」

「…はっ、まったくお前には敵わない」

フューズはカプカンをベッドに沈めて優しく唇に口付けを施していく。儚げな笑みを浮かべていたカプカンの表情は何処か嬉しげで。

やがてカプカンはフューズの広い背中に腕を回し、与えられる快楽に身を任せていった。

 

 

 

 

 

 

俺は俺自身の意思でお前の隣に居るんだ。

フューズ、俺を見つけてくれてありがとう。

俺はお前をー・・・