穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

意地っ張りは度を越すと可愛くてたまらない


タチャンカとカプカンのお話。

【意地っ張りは度を越すと可愛くてたまらない】


普段なら冷静で居られることも、今回ばかりは冷静で居られなかった。マクシムはアレクサンドルの胸倉を掴んで今にも彼を射殺すのでは無いかと思うくらいに強く睨みつけた。

「お前、俺の目の前でグラズと抱き合っていたよな。…俺という存在が居るのにも関わらず、どうしてそんなことをする?馬鹿なのかあんたは」

「お、落ち着けって!ヤキモチは可愛いが今のお前は顔が怖すぎるぜ?ほらスマイルスマイル」

「あんたは俺を怒らせることばかりだなサーシャ。どうせあんたのことだから『ただのスキンシップだ』なんて言うんだろ?馬鹿か」

マクシムはアレクサンドルから手を離せば彼をただただ睨みつけ、挙句の果てには溜息を吐いた。

アレクサンドルはマクシムが嫉妬深いのを分かっていて彼の前でスキンシップだとグラズに抱きついてマクシムの反応を楽しんでいた。

…しかしそれが裏目に出たようだ。

マクシムの顔は無表情、そして静かなな声はいつにも増して抑揚の無いものだった。

アレクサンドルは困った表情を浮かべながら呟いた。

「お前の反応を楽しんで悪戯し過ぎたのは悪かった。だけどそんなに怒らなくても…!」

「あ?…俺は最高に不機嫌なんだ。サーシャ、しばらくあんたの顔なんて見たくない。グラズが良いなら勝手にそちらへ行け。くそったれ」

マクシムはそういうとアレクサンドルの顔を見ずに彼の前から立ち去ってしまった。

アレクサンドルは髪の毛をくしゃりと撫で回して後悔の念に苛まれていった。

 


マクシムと口を利かなくなってから約一週間。任務の時ですら第三者を通じて会話をするほど険悪な状態だった。

アレクサンドルは眠る前に一杯酒を飲む為に冷蔵庫を開ける。

「…はぁ、今飲んでも旨くねぇよな」

開きかけた冷蔵庫を閉じて溜息をつく。毎晩、喧嘩をする前はマクシムと一杯酒を酌み交わして談話を楽しみ、そしてその流れで彼を抱くというのが日課だった。

マクシムは一向にアレクサンドルを許すつもりは無いようで顔すら見せないようにしていたのだ。

アレクサンドルは布団にごろりと寝転んで目を閉じた。一週間前にマクシムを怒らせたことを酷く後悔していた。グラズに向ける視線は子どもを愛するような親愛、そしてマクシムに向けるものは情愛だ。恋愛感情なのだ。

「…マクシム、ごめんな」

何度謝ろうとして彼の部屋に行ったことだろうか。マクシムは無言を徹底して部屋に来たアレクサンドルを拒否し続けていた。

このまま別れたくない。
俺はお前が一番好きなんだ。
だから…。

アレクサンドルが物思いにふけっていた時だ。深夜にも関わらず部屋をノックする音が聞こえてくる。

「…誰だよ、まったく…」

布団から身体を起こし、ドアを開ける。するとそこにはラフな格好をしたマクシムが立っていた。

 

「…マクシム…?」

「…悪かった」

「…へ…?」

「…だから、悪かったって言ってるんだよ!」

 

部屋に来たのはマクシム本人だった。開口一番、謝罪を述べたのも彼自身だ。アレクサンドルはとりあえずマクシムを部屋に入れて布団に座らせた。

「…お前は…悪くねぇって。俺がお前を怒らせた。マクシム、謝らないでくれ。って何で泣いてんだ」

マクシムは薄っすらと涙を浮かべてアレクサンドルの服の裾を掴んで呟いた。

「あんたと口を利かなかった一週間が辛かった」

「…俺も同じ気持ちだぜ」

「俺はサーシャ、あんたが好きだから妬いたりするし他の奴に触れているだけで腹が立って仕方がない」

「そうだよな…、俺も同じことされたらきっと怒るもん」

「…だから…」

マクシムはアレクサンドルの手を掴んで布団に彼の身体を押し付けて首元に噛み付いた。

「痛っ…」

「…一週間分の俺を搾り取れ、サーシャ」

アレクサンドルの首筋に噛み付いて笑みを浮かべたマクシムの瞳からは涙は消えていた。

これは開幕の合図か?

まあいいだろう。

「足腰立たなくなるがいいのか?」

「…構わない、それが俺の望みだからな」

「可愛い奴め…」

アレクサンドルはマクシムの顔に手を伸ばしてゆっくりと唇を這わしていった。久しぶりに感じる恋人の体温を飽くまで感じられる夜に心を躍らせて瞳を閉じていった。