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おじさんとカヴェイラ


【おじさんとカヴェイラ】


「なぁ、何か口寂しいからお菓子頂戴?」

「…何も無いわ」

「カヴェイラさーん、そんなに怒らなくても」

「あたしはあんたみたいなおじさんが嫌いなの。力寄らないで頂戴?汗臭いのが移るわ」

「冷たいなぁ」

とある日の昼下がり。

レインボー部隊の拠点であるヘレフォード基地の掃除当番が回って来たカヴェイラとバンディットは二人で資料室の掃除をしていた。

カヴェイラはヴァルキリーやアッシュ、トゥイッチら女性陣と一緒が良いと訴えたが寮母的存在であるドクに却下されてしまったのだ。

(…何でよりによって一番嫌いな奴と一緒に掃除をしなくちゃならないのよ。こいつ、へらへらしてて苦手なのに!)

カヴェイラがもっとも苦手とする相手…、GSG9のバンディットである。任務で一緒になる事が多い彼だが、正直何を考えているか分からないタイプの人間がカヴェイラは苦手だった。

バンディットとカヴェイラは一回り以上歳が離れているので話が合うわけでもなく、ただただ黙って掃除をするしかなかったのだ。

棚の掃除をしていたカヴェイラはすぐ隣の本棚で整頓していたバンディットの横顔を見て無意識に言葉を漏らした。

「…42歳のくせに童顔過ぎるでしょ」

ぼそりと漏らした言葉にバンディットは気がついたのか、整頓していた手を止めてカヴェイラをまじまじと見つめてくる。

「な、何よ…?!」

「…俺が何だって?」

「あんたが年齢の割に童顔だって言ったのよ。聞き返すほどのことじゃないでしょ?」

「…気にしてるんだけどなー、あー、おじさんのガラスのハートがブレイクされました。責任取れよ」

「…は?!」

バンディットはカヴェイラの背後に周り、彼女のうなじに指を這わせて撫でて行く。ぞわりと背筋に駆け上っていく寒気にカヴェイラは身体を震わせた。

「こ、殺すわよ?!」

「俺の心を傷つけたことを謝ったらやめてやる。カヴェイラ、お前どんだけ俺のこと嫌いなのよ?おじさん泣いちゃう」

バンディットはカヴェイラの耳許で甘えたような声で囁いた。カヴェイラはバンディットの股間に思い切り蹴りをお見舞いする。

「いってぇぇ…!!」

「あ、あ、あんた…!馬鹿じゃないの?!そういうチャラチャラした所とか、ふざけた所が嫌いなのよ!!真面目に掃除をしなさいよ!このチャラチャラ童顔スケベオヤジ!」

顔を真っ赤にしながら怒鳴るカヴェイラをバンディットは蹴られた股間を押さえながら見つめてニヤリと呟いた。

「あー、可愛いねぇ。俺お前みたいなツンツンして初々しい感じの奴を怒らせるの大好き♡あ、カヴェイラさんの制服エロいよな。いつも任務の時に見てます。眼福だぜ?俺の夜のオカry…」

「じ、地獄へ堕ちろっ…!」

「そんなに怒んなってー、可愛い顔が台無しだぜ?ふふん♪やっぱり俺カヴェイラさんタイプだし好きだわ。なあなあ俺と付き合わない?42歳の童顔スケベオヤジだけど、お前のこと幸せにするぜ?」

意味が分からなさ過ぎる。

カヴェイラはバンディットを睨んで深くため息をついた。

「…あんたみたいな奴はお断りよ!」

「ドク先生みたいな奴だったら良いのか?」

「な、何で…!!」

「ドク先生は既婚者だぜ?報われない恋は切ないよなぁ。俺と同じだな、カヴェイラ、童顔スケベオヤジでチャラいが金もあるし自慢じゃないけどお前でしかヌイたことないから、な?俺の恋人になってくれませんか!!」

「…馬鹿なの、あんた?」

「…馬鹿が付くほどお前に惚れてます☆」

「…あたしはあんたみたいなチャラチャラした奴嫌いって言ったわよね?」

「諦めないのが男だろう?」

「…面倒臭い奴ね、童顔スケベオヤジ」

「お?顔赤い!可愛いなぁ…」

「…黙りなさい、潰すわよ?」

「カヴェイラ、すーき」

バンディットはニコニコしながらちゅっとカヴェイラの唇に軽くキスをした。キャパオーバーしたカヴェイラはバンディットに思い切りアッパーを食らわせた。

 

「あ、あたしのファーストキスっ…!」

「責任取るから俺を好きになれよ、カヴェイラさん♡」

「…くそっ、あんたなんか埃まみれになって一週間クシャミばっかしてろバーカ!」

カヴェイラは顔を真っ赤にしながら資料室を飛び出して行った。そんな彼女の背中を見送ったバンディットはアッパーを食らった顎を撫でながらニンマリとして呟いた。

「…あー、絶対に俺の女にしてやる。可愛すぎんだろう、あの子」

バンディットはカヴェイラの唇の体温を思い出しながら彼女にさらなる想いを馳せて行った。