読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

レインボーシックス小話②

バンディット×イェーガー


【悪戯に君を好きになる】


いつもプライド高いあいつを笑顔にしたくて悪戯に全力を出す。私服のパーカーのフードに飴をたくさん詰め込んで、フードを被ったあいつが少しだけ「馬鹿」って笑ってくれる顔が大好きで。

バンディット、お前は子どもか!」


顔をくしゃりとしながら笑うお前の笑顔が俺は大好きで。床に落ちて行った飴玉を拾い上げればイェーガーはそれを口に放り込んで呟いた。

「相変わらず甘いな、何味だよ!」

「…イチゴミルク」

「ぶっ…!子どもっぽいな!」

「…悪戯好きだし、俺はいつまでも子どもだよ」

「そんなんじゃ婚期逃すぜ?…ま、俺も人のことは言えないけどな?」

「俺はいつまでもお前と馬鹿出来ればいいと思ってるから。…飴、俺にもくれないか?」

「ほい」

イチゴミルク味の飴を口に放り込み、俺はふと考えてしまった。いつまでこんな風にお前と笑っていられるんだろうって。いつまでお前と馬鹿出来るんだろうって。

しょうもないことかもしれない。

だけど俺にとってイェーガー、お前はかけがえのない大切な奴なんだ。だから俺はいつだってお前が笑顔になるように、お前が楽しそうに笑っていられるように頑張っているんだ。

イチゴミルク味の飴が溶けてなくなる頃、イェーガーは再び口に飴を放り込んで工具に視線を落としていった。

 


「俺、フラれちった」

「…残念だったな」

二人で酒を酌み交わしながらイェーガーは悲しげに呟いた。ずっと好きだった女の子に告白をしたらしいがフラれてしまったようだ。

…俺は告白された女の子が羨ましかった。どんなに俺がイェーガーを笑わせたって親友止まりで、それ以上もそれ以下でも無いのに。

「あーあ、バンディット、俺お前と馬鹿やって笑ってる方が幸せだぜ。何か冷めちまった。恋愛ってのは面倒だよなぁ」

…そうだな、確かに面倒だよな。

俺もお前も男だし、俺の一方的な片思いだし、お前は俺を親友としてしか見ていないんだから。な?だからこれ以上俺は辛い思いをしたくは無いんだ。

「…面倒だと思うなら、誰も好きにならなきゃ良いんじゃないのか?」

 

…俺を見て欲しいんだ、俺だけを…。


「確かにな。…だから俺、もう好きな奴出来ても何もしない。バンディット、お前の話を聞かせろよ」

少しだけ酔いが回ったマリウスは俺の隣に座って甘えるように身体をすり寄せてくる。おいおい、俺の気持ち知らないくせに酷いやつ。

「俺の話なんてツマンナイぜ?悪戯に全力を出し、お前を笑わせて一日過ごしてんだ。浮いた話なんて何もない。有っても秘密だ。ひ・み・つ。お前には教えたくない」

「ひ・み・つ?」

「…可愛く言っても駄目だ」

「なー、バンディット、お前モテんだろー?教えろってー、俺たち親友だろ?」

「…酔ってんだろ、悪酔いし過ぎだ」

「…バンディット…」

イェーガーは酒で酔いが回ったのか俺に抱きついてくる。おい、おい、おいおいおい…!

馬鹿なの?!

お前って奴は本当に…。

「離れろ」

「ヤダ」

「…頼むから、な?」

「…ヤダ」

「…悪趣味だよ、イェーガー」

「…酔ってねぇよ、ドミニク」

今こいつ、名前で呼ばなかったか?

空耳じゃないよな?

イェーガーは何故か俺に抱きついたまま黙ってしまった。酔ってない?嘘?は?意味が分かんないよお前。

ビールの空き瓶がかなりの本数なのに。あ、イェーガーは酒強かったのを今更思い出した。

「…何がしたいんだ」

「…お前に嘘ついた」

「酔ってないってことか?別に…」

「違う」

「じゃあなんだ?」

「…女の子に告白なんてしてません」

「…ほう」

「フラれたのも嘘」

「…だろうな」

バンディット」

「ん?」

「好きだ」

「…はい?もう一度いいか?」

バンディットが好きです」

「…そう、で?」

「親友から昇格したい」

「…へー」

バンディット、真面目にっ…!」

「嬉しくてさ、涙が出てきた。あ、目薬じゃなくて本当に。イェーガー、本気か?」

抱きしめてきたこいつの思いも寄らぬ嘘は俺にとっては嬉しくて。涙が何故か止まらない。

「お前が悪戯に全力を尽くして俺を笑わせてくれたのがきっかけだった。気がついたら好きになってた。バンディット、俺はシャイだから遠回りしたけど、お前が本気で好きだ」

あぁ、俺今すげぇ幸せだよ。

イェーガー、俺もお前に言ってもいいか?

「…俺もお前が大好き。ずっとずっと大好きだったよ。だからイェーガー、これからもお前の笑顔、俺だけに見せてくれないか?」

今更だけど、俺も実はシャイだから。

だから多分お互いに顔が真っ赤かも知れないが互いの顔を見つめ合えば笑みが溢れる。

「…バンディット、これからもお前の隣で笑って馬鹿やって。あとは愛し合いたいな!…嫌か?」

「嫌じゃない、歓迎さ」

「…バンディット」

積極的なんだなぁ、新たな一面を見つけてしまったよ。イェーガーは自ら瞳を閉じてキスを求めてきた。可愛い顔に触れて唇を重ねれば何よりも愛しいお前が其処に居ることを実感する。

抱きしめ返し、唇を深く重ねていく中で俺は思う。お前を好きになってよかった。笑ってくれて良かった。好きになってくれてよかったと。

 

バンディット、好きだ…」

「あぁ、俺はそれ以上だから覚悟しろよ?マ・リ・ウ・ス?」

唇を離したあと、俺たちは顔を見合わせて大笑いした。あ、可愛い笑顔が見れてあと数百年は長生き出来そうだと俺は改めてイェーガーの笑顔を見て思ったのは、俺とあんたの秘密だからな?