読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

サラリーマンパロのまとめ(ルーク×ドク・バンディット×エコー)

【通勤快速・午前8時の初恋】

 

 

毎日通勤する時間帯は決まっていて、乗る電車も最寄駅も同じ会社の先輩。俺はこの人に恋心を抱いている。

…そう、人生で初めての初恋だ。

隣に並び立つこの先輩はおっちょこちょいで、だけど仕事が出来る敏腕の持ち主で。

「ジュリアン、おはよう」
「あ、ギュスターヴさん。おはようございます!」

着衣の乱れが一つもない彼は本当にかっこいい。朝一、電車も同じ時間帯に乗るから目の保養。

「昨日のプレゼン、中々良かったよ。私が気づかなかった部分に着眼点を置いていて面白かった」
「ほ、本当ですか?!…嬉しい」
「だけど噛み噛みだったね!ふふ、落ち着けばパーフェクト!」
「…恥かしい」
「君らしいじゃないか、ジュリアン」

電車はもう少しでやってくる。
人混みに押されないように、この人を守ってあげないと。

『間も無く、通勤快速…、黄色い線の内側で…』

「ギュスターヴさん、電車来るから…、人すごいだろうし俺に掴まっていて」
「うん…」

電車は午前8時、丁度に駅に着く。
開かれたドア、出てくる人混みに拐われないように。

しっかりと好きな人の手首を掴んで。

騒つくなか、俺は一言囁いた。

「あなたが好きです、ギュスターヴさん」

 

 

電車の中、人混みに揉みくちゃにされても俺は手を離さない。ギュスターヴさんも手を離さないでくれていた。

 

 

「…大丈夫ですか?」
「ジュリアン…」
「はい、何です?」
「…私が好きと言ったな」
「聞こえて居たんですね」
「嫌いだったら君と同じ時間帯の電車なんか乗らないよ」
「…それは俺を気にしてくれているんですか?…肯定だと受け取りますよ」
「構わない。…ジュリアン、君はね、私にとって…」

電車の中、周りに聞こえないくらいの小さな声で。そして俺のスーツの袖をぎゅっと掴みながら。

真っ赤な顔して、ギュスターヴさんは呟いた。

「初恋の相手だから。…だから、私も君が好き」

震える指と、小さな声。
俺が望んでいたあなたから返事、それだけでも充分なのに。

「嬉しいです、俺もあなたが初恋の相手たから。さ、ギュスターヴさん。会社の最寄駅に着くまで俺に掴まっていて下さい」
「…可愛い顔して、かっこいいとかずるいよな。まったくさ、絶対に今日の会議で君にかっこいい所見せないと」
「あなたはどんな時でも素敵で、俺の一番大切な人ですよ、ギュスターヴさん」
「っ…!!朝から心臓に悪い。嬉しくて会議の時に顔がにやけちゃうかも」
「しっかり見ておきます」
「馬鹿っ、もう君って子は…」

通勤快速、会社の最寄駅まで約10分。初恋の相手は今目の前で俺を見て楽しそうに微笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

【通勤快速・午前8時のヤキモチ】

 

 

騒つくオフィスの、とある一室。
コーヒーブレイクにはうってつけの休憩室で恋人兼後輩が私を睨んでくる。

「ギュスターヴさん、俺が怒ってる理由分かる?」

「何だろうか」

「…本当に分からない?」

「私にはさっぱりだ」

ジュリアンは普段から優しいし、
まるで犬のような可愛さも持ち合わせている。

そんな可愛い彼が怒っている理由に、
当然検討なんてつくわけなかった。

「…ギュスターヴさん、この間さ、会議室で女の子と楽しそうに話していたよね?…あれ、誰なの?」

「あぁ、あの子か?あの子は新人の女の子だよ。会議で分からない箇所を聞いて来たから答えただけだが。…それがどうした?」

「…ねぇ、あなたは天然か何かなの」

「いや、抜けていると言われたことはあるな…」

「例えば、俺があなた以外の人と楽しそうに。しかも目の前で話していたらどう思う?」

ジュリアンが私の知らない人と、しかも楽しそうに…。

嫌だ、そんな所見たいわけないじゃないか。

胸がズキズキと傷んでしまう。

「嫌だ、そんな光景見たくなんか…っ!!」

「俺はあなたに見せつけられたんだよ、だから怒ってる。理解してくれた?」

「見せつけたなんて、そんなつもりはっ…」

「じゃあ何で、あんなにニコニコしていたんだよ。俺と話す時よりも楽しそうにしちゃってさ。仕事の、しかも会議の内容教えるだけで……って、ギュスターヴさん…」

「ごめっ、…ごめんっ、私のせいで君を怒らせちゃった。お願いだから、嫌いにならないでっ…!」

視界が涙で歪んでいく。
自分の意思とはまったく関係もなく、ぽろぽろと涙は頰を伝っていく。

ふわりとジュリアンは私を抱き締めて頭を撫でてくる。

「…ごめん、ギュスターヴさん。俺のヤキモチだ。あなたが初恋だから…その、泣かせるつもりなんてなかったのに。怒ってごめん」

「…私のこと、嫌いにはならないか?」

「嫌いになんかならない。…むしろ、独占したいくらいにはギュスターヴさん。あなたが大好きだよ」

「良かった…、本当に…」

「ねぇ、ちょっとだけ。…キスしたい、誰も来ないからさ。ね、良いよね?」

「ん…」

休憩室はある意味死角になっていて、ジュリアンに抱き締められながらキスされるところは誰にも分からない。

 


「…今日、あなたの家に泊まってもいい?」

「…え…?」

唇が離されたあと、若干の名残惜しさを顔に浮かべていればジュリアンは私の顔を見つめて微笑んだ。

「ヤキモチ妬いちゃったから、お詫びがしたいんだ」

「か、構わないよ…。じゃあ、会社のロビーで待ち合わせでいいかな」

「うん、良いよ。…ギュスターヴさん」

休憩室から出るときにジュリアンは私の耳許でぼそりと言葉を囁いて出て行った。

 


「まったく…、心臓に悪い…」

お互いが初恋だから、尚更ね。

 

 

 

 


「今夜あなたを独り占めするから。…覚悟しておいて?」

 

 

 

【お昼0:00、喧嘩上等】

 

 

お昼はとっておきの場所で、優雅にコンビニ弁当を食べる。

…屋上は春の陽射しでぽかぽかしていて居心地がいい。

「眠い…、さて、飯を食べるか。いただきま…」

「ちょっと待ちましょうか、ドミニク先輩」

「江夏…、俺の貴重な昼休みを邪魔するのか」

「あんただけなんですよ、企画書出してないの!まったく…」

昼飯を食べようと思い、コンビニ弁当を開けようとしたら屋上に入って来たのは後輩の江夏優。

「別に良いだろう、俺より仕事出来るギュスターヴくんとかジュリアン居るんだから」

江夏に視線を寄越せば、彼は歳の割には幼い顔立ちを歪ませながら俺を睨んでくる。

「あんたはそれでも営業のトップなんですか?!…ったく、無責任にも程がある」

「今日中には出すから、昼飯食べてもいい?」

「本当に提出出来るんですか?約束破ったら…」

「約束破ったら、別れてもいいぜ?俺はやろうと思えば今ちょうどパソコンあるし、ちゃちゃっと…」

「あんたそれ脅しですよ?!…っ、あんたが企画書作るの見張ってるから飯食いながらでもやってください!」

「ほいほい…」

後輩の江夏優と俺、ドミニク・ブルンスマイヤーはお付き合いさせていただいてます。

最近は喧嘩ばかりだけど。

 


コンビニの飯を食べながらパソコンを開いて書類を作成していく。

実は途中まで出来てるんだけど、すっかり忘れていたのは愛嬌ってことで。

「あんた途中まで出来てるじゃないか、忘れっぽいのさえどうにかしてくれれば…」

「ごめんごめん、そんな怒んなって。可愛い顔が台無しだぞ〜」

「は、はっ…?!意味わかんないです、男に可愛いとかっ…」

「俺が好きで好きでたまらない後輩くんがわざわざ自分の昼休み削ってまで俺の所に来てくれたのが嬉しいの」

「それはあんたが提出してくれないから…」

「俺に会いにも来てくれたんでしょ?」

「っ…!別にそんなつもりっ…!!」

「だったらなんでそんな顔真っ赤なの、キスしちゃうよ?」

「は、早く作りかけの企画書出来たらいいですよ。…あんただから許してるんですからね?!」

「よし、俄然ヤル気出て来た〜〜、江夏、ちょっと俺の隣で待ってろよ」

俺は残りのコンビニ弁当を紙パックのお茶と共に流し込み、ありたっけの集中力で書類作りに勤しむことにした。

 

 

 


「…やれば出来るじゃないですか、営業の中じゃトップ…、ドミニク先輩、あんた普段から…」

「真面目にやれって?俺の性に合わないなぁ。俺は昇進とか興味無いし、俺が頑張ったのは江夏、お前が恋人だからだ」

「公私混同じゃないですか、それ」

「良いんだよ、それくらいの公私混同くらいさ。それより、約束守れよ?」

「っ…、勝手にして下さい!」

「じゃあ遠慮なく。…目、閉じてろよ」

企画書を昼休み中に完成させたご褒美に俺は江夏にキスをする。

可愛い顔、真っ赤じゃねぇか。

「優、好きだ」

そう呟いて唇を重ねてしまえば江夏の身体はびくりと震えて俺の唇を受け入れていく。

 

 

 


「ドミニク先輩…、キス長い!」

「駄目だった??お前が可愛い顔してるんだもん」

「だからって、もう昼休み終わっちゃう…」

「じゃあ、俺の家で続きしようか?企画書も出したし、明日も休みだし。江夏くんに拒否権はありませーん」

「…っ、か、勝手にしてください!!」

「じゃあ、帰りは会社の入り口で待ち合わせだぞ。江夏、ちょっとだけ」

「な、何ですか?!」

「好きだよ、優」

「もう、勘弁してくださいっ…」

「残りの仕事も頑張りますかね」

コンビニ弁当の袋などなど片手に持ちながら江夏と屋上をあとにする。

昼休みは残り5分。

楽しみを片手に、オフィスへ戻っていく。

 

 


【深夜0:00、恋に堕ちる】

 

 

先輩との出会いは、本当に運命だと思っている。

僕は根暗で人間に興味関心なんて無くて、誰からも良い意味で関心を向けられたこともなかった。

だけど、ドミニク先輩だけは違ったのだ。

『お前、すげーじゃん!』

あぁ、僕は単純な性格かもしれない。

この人の全部が好きで堪らない、だからこそ…。

…素直になりにくいのだ。

 

 

 


「江夏、シャワー浴びて来いよ」

「い、言われなくても…!!タオルと着替え置いといて下さい!」

仕事が終わり、約束をしていたドミニク先輩のご自宅にお邪魔している僕は勧められるがままに浴室へ案内されてしまう。

「湯船にも浸かれよ、江夏」

「分かりましたから、先輩は部屋にいて下さい!」

「はいはい、ごゆっくり」

ガチャリと浴室のドアは閉められていく。

 

 

「…馬鹿、先輩のばーか…」

小さくぼやきなら、浴室内に足を運ぶ。

ドミニク先輩と恋人関係になってから約二年。

たまに合う休みはだいたい僕が先輩の家に泊まって、一緒に寝て、外で遊ぶ。

…僕は、キスより先を一年以上もお預けを食らっている状態なわけなのだ。

「先輩、僕のこと飽きてるのかな…」

熱いシャワー浴びながら嫌なことを考えてしまう。

やる気の無い先輩だが、きちんとやれば仕事だってなんだって…。

飽きているのなら、昼休みにキスなんてして来ないだろうし…。

どうしよう、どうしよう…。

「ドミニク先輩…っ、あなたの気持ちが…」

「呼んだか?」

「は、何で居るんですか!?」

「お前独り言めちゃくちゃデカイ声で話してるんだもん。…で、寒いから俺も入るぜ浴室」

「っ…来ないでっ…」

「優、泣きそうな顔してんじゃん。悪いけど拒否権はありませーん。…理由を話せよ」

あぁ、もう駄目だ。

せっかく明日休みで、普段やる気のない先輩が頑張って書類作りしてくれたのに…。

…僕のワガママであなたを困らせようとしてる。

「とりあえず寒いからシャワー浴びて身体の洗いっこでもするか。優、こっち向け」

「ん…やだ…」

「俺を拒否するな」

「先輩、僕のこと飽きちゃったからキスよりも先、一年以上もお預けしてるんですよね?!僕が女の子みたいに可愛げがあれば泊まりに来るたびにあなたはっ…」

「…怒るぞ?」

もう、嫌だっ…!!

「だったら僕とエッチを一年以上もしてくれない理由は何なんですか?…ドミニク先輩、僕だって心配になるんですよ。男同士だし、不毛かもしれない恋だけど僕はあなたが好きなんだっ…、だから、だから…」

浴室内に流れる熱いシャワーの水音が、僕とドミニク先輩の間に広がっていく。

視界がジワリと涙で歪んで、心がぎしりと軋んでしまう。

「あなたが僕を抱いてくれないのが心配なんだっ…」

ぽつりと涙が頬を伝って落ちていく。

ドミニク先輩は僕の顔を見て、そして一言だけ呟いた。

「…優、お前を本気で大切にしたいと思っているんだ」

先輩の顔は今まで見たことのないほどの真剣な表情だった。

「出来れば…、一生さ、よぼよぼになるまでお前と居たいのよ。だから本気で優、お前を愛しているからこの一年身体を重ねなかった。だけど」

僕の唇にちゅっと唇を重ねれば、悪戯な笑みを浮かべて囁いた。

「お前が望んで求めてくれるなら、今すぐにでもしたい。…優、抱いてもいい?」

もう、この先輩は本気なんだ…。

僕はあなたを望んで、そしてあなたの熱が欲しいよ…。

だから…。

僕はコクリと頷いて先輩の広い背中に腕を回した。

それは僕があなたを欲している『無言の肯定』なのだ。

 

 

 

熱い浴室内に漏れる吐息は誰の物だろうか。

そんなこと、どうでもいい…。

 

 

「優、気持ちいい?」

「んっ、知らなっ…」

「すんごい中締め付けてくるな。やっぱり一年我慢してて良かった。ずっと俺が欲しかったんだろう?」

「知りませんっ、…僕に聞かないでっ、んあっ、やっ…」

「そんな強がるなよ、優…」

ドミニク先輩の熱が僕の中で動いていくこの感覚がたまらなく気持ち良い。

口にしないのは、せめてもの強がりだから…。

「ぬるぬるだし、すんごいぐちゃぐちゃ。…可愛い」

「可愛くなんてっ…」

「好きだよ、お前が大好きっ…。だから持っとしてもいい?」

「好きに…っ、あなたの好きにしてくださいっ…!」

「っ…、俺を煽りやがって。会社ではあんなにツンツンしてるお前がこんなトロ顔だってバレたら俺耐えらんない…」

「あ、あんた限定だっ…」

「そう?じゃあ遠慮なく、いただきます」

「大きくしないでっ…、中、もっと反応しちゃうからっ…!」

「あー…、優、悪いけど優しくなんてしてやれないぞ」

「んっ…?!は、あっ、突かないでっ…う、あんっ、やぁっ…」

ドミニク先輩を求めていたのは僕自身。

中に籠る熱も、
僕に触れる手も…

 

 

「愛してますっ…、大好き、大好きです、ドミニク先輩っ…」

「そんな可愛いこと言われたら、加減なんてできねぇよっ…!

「キス…、キスして唇を塞いでっ…」

 


浴室内は声や交わる音が反響してしまう。

だからこそ、あんたの唇と舌をもって…。

僕を犯して…?

 

 

「ふ、うっ…、はっ、あぁ…」

唇でキスをされながら後ろをドミニク先輩の昂りで突かれてしまえばもう僕は限界だった。

「も、無理だからっ、出ちゃうっ、っ、ドミニク先輩っ…、大好きっ…」

「俺も限界だっ…、愛してるよ、優っ…」

もう一度、唇を重ね合わせて互いの熱を確認し合えば限界は目の前だ。

僕はドミニク先輩の手のひらに、
そして先輩は僕の中で精を吐き出していった。

 

 

 


ドミニク先輩の湯船は二人で浸かっても狭くはない。

かなり良い浴室だろう。

「一年ぶりに抱いたお前が可愛すぎてもう辛い…」

「…僕は腰が痛い」

「可愛い優が悪い」

先輩に背後から抱き締められながら共に湯船に浸かるのは初めてで、少しだけ恥ずかしい。

「優、不安にさせてごめん」

「僕の方こそ…仕事の時はきつい性格だよね…」

「良いよ、俺はそんなお前も大好きだから」

背後から抱き締めてくるドミニクさんの身体は逞しくて、温かい。

 


「なぁ、一つ提案なんだが聞いてくれる?」

「なに?」

湯船の中には穏やかな波、そして僕の手とドミニク先輩の手は重なっていた。

「優と一緒に暮らしたいんだ。…会社からは近いし、何よりも毎日お前の寝顔とか可愛い顔とか色々見たいんだけど。どう?」

…まさか、夢じゃないよね?

…嘘だったら泣くからね?

「朝ご飯は一緒に食べてくれる?」

「もちろん」

「一緒に会社から帰ってくれる?」

「当たり前だ」

「朝も夜も僕の隣で眠ってくれる?」

「喜んで」

「僕のこと、一生幸せにしてくれますか?」

「…俺以外に優は扱えないだろうな、俺以外が幸せにする権利なんてないし
。…だから一生幸せにする」

「…っ!!じゃあ良いですよ、一緒に暮らします」

「幸せ…、優、愛してるよ…」

「…僕も大好きです、先輩…」

温かい湯船に浸かりながら互いに抱き締めあった。

望んでいた思い、
これから先の未来…。

大好きなあなたと迎えられる夜なら怖くない。

もう少しで深夜0:00、 あなたと共に恋に堕ちていく。