穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

全てはお前のせい

【全てはお前のせい】


「もうお前と会うことは無いだろうな、じゃあな、相棒」

イェーガーは感情を押し殺しながらバンディットの部屋から荷物をまとめた鞄を持って出て行こうとする。

バンディットは出て行こうとするイェーガーの手首を掴んで声を震わせながら呟いた。

「…どうして、どうして出て行こうとするんだ!?何が悪かった、イェーガー、理由も無く居なくなろうとしないでくれ、俺を独りぼっちに…」

「っ…!全てはお前が悪いんだろ!バンディット、お前が、お前が朝起きても隣に居ない日が続いてそれに耐える俺の身にもなれってんだ…!そうやって居ると思えば知らない香水の匂いを振りまいて、ずっとずっと我慢してきたんだ、お前が壊したんだろう?!俺が崩さないように気をつけていたこの均衡をな!」

摑まれた手を振り払い、イェーガーはバンディットにありったけの感情を吐き出した。二人の関係は恋人関係に近い関係だった。しかし互いに好きとは伝えあっておらず、言わば、家主と居候の関係であった。

イェーガーはずっとずっとバンディットを思って毎日を過ごしてきた。好きとは伝えず、ただただ共に生活をするだけの関係であったとしても、必死に自己を押し殺しながら毎日を過ごし出来たのだ。

「…イェーガー、お前は俺の気持ちを何一つ知らないだろ!?言っても来ない、伝えても来ない、ずっとずっとお前のそういう所に疑問を抱いてた。俺はお前が好きだから、だから我慢して女を抱いて…、お前の代わりに他の奴を抱いて夜を耐えて来たのによ。イェーガー、教えろよ、お前の気持ちを言ってくれよ…!」

バンディットはイェーガーを少しだけ泣きそうな顔で見つめて言い返す。イェーガーはポカンとした顔でバンディットの顔を見て手に持っていた鞄を床に落としてしまう。

「…意味が、意味がわかんねぇよ」

「だから、俺はお前のこと好きだって言ってるじゃないか。イェーガー、お前鈍感すぎるにも程があるぞ!ベッドが一つしか無いから一緒に寝ていたけど、毎日俺がお前を夢の中で滅茶苦茶に抱いていたって言ったらドン引きするだろう?!俺だって四十路の男だけど、好きになった奴を好きなようにしたいって思ってんだよ、察しろよ!」

「こ、困るんだよ…!色々言われても、わかんねぇ…!」

「逃げるなよ!」

「逃げねぇよっ…!!俺だってバンディットが好きだから色々ムカついてんだよ!馬鹿野郎っ、プライドがズタズタじゃねぇかっ…、くそッ、ふざけんな畜生っ!」

イェーガーはしかめっ面を泣き顔に変えてバンディットを睨みつける。子どものように癇癪を起こし、ありたっけの思いを吐き出したイェーガーをバンディットは優しく抱き締めた。

「イェーガー」

「何だよっ…!」

「…独りに、俺を独りぼっちにしないで」

「…甘ったれんな」

「家から出て行かない?」

「…出て行こうにも、此処しか居場所がねぇんだよっ…!」

「なぁ、イェーガー」

バンディットはふっと優しく微笑みながらイェーガーの身体を少しだけ離して彼の瞳を見つめた。

 

 


「俺と、きちんと恋人としてお付き合いして下さい。出来れば一生側に居たいんだ。浮気もしないお前しか見ないよ。信じられないなら忠誠を誓うから。イェーガー、俺、お前が大好きなんだ…」

その言葉を聞いたイェーガーは涙を瞳に浮かべながら顔をぐしゃりと歪ませてコクリと頷いてバンディットの背中に腕を回した。

「絶対に、絶対に幸せにしねぇと許さない」

「任せろよ、誰よりもお前を見て来た俺にしか出来ないことさ。さ、愛を確かめ合うか?…お前を抱きたい」

「…知らねぇ、好きにしろ…」

バンディットはイェーガーをベッドに引きずり込んで彼の首筋に顔を埋めて行く。寝室に放置された鞄だけが二人の愛の行く末を見守っていた。