穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

あなた色

あなた色


モニカ・ヴァイスのネイルは単色だが塗りが丁寧で女性陣からも好評だ。毎日仕事ばかりの彼女の唯一の楽しみである。

今日は久しぶりの非番、同僚であり夫でもあるGSG9のエリアス・ケッツも休みなので朝食を共にできる。ウキウキとした気分でモニカは身支度を済ませて食堂へと向かう。

…指にはいつもと違うネイルを施して。

 


「エリアス、おはよう」

「モニカ〜!!久しぶり!おはよう!相変わらず可愛い!さすがモニカ!!会いたかったよー!!」

トレイに食事を乗せてエリアスが待っていた席に腰を下ろす。エリアスは数分前に席を取っていたようでモニカを見つければニコニコと彼女に笑顔を浮かべてみせる。

モニカは少し照れくさそうにエリアスの顔を見て微笑んだ。エリアスは長期の任務から帰って来たばかりだ。なのに自身と結婚してからは必ず任務帰りの朝に朝食を共にしてくれる。

「…私も会いたかった、エリアスが無事に帰って来てくれて食事が安心して摂れる」

マグカップに入った淹れたてのコーヒーを口にしながらモニカはアイスブルーの瞳でエリアスを見つめた。エリアスは笑みを崩さずに話を続ける。

「君を一人残して逝くなんて簡単に出来るわけ無いだろう?司令官がみんな無事に帰って来たからご褒美に休みくれたんだ、久しぶりにデートでもするかい?」

「…あなたが疲れていないのなら」

「まあ確かに身体は疲弊してるがモニカ、君の笑った顔を見れたから俺は充分元気さ。はは、君は本当に思いやりがあるな。…モニカが奥さんで良かったってずっと思ってたけど、尚更思った。って、恥ずかしいから見ないでくれ!みんな見ないで!!」

ははっ…!っと食堂にいた他の隊員たちからは笑いが溢れる。エリアスは隊のムードメーカー的存在でもある。モニカは照れくさそうに振る舞う彼を見て小さな幸せを感じていた。

エリアスがモニカに視線を戻してふとマグカップに添えられた指先を見つめてぽつりと呟いた。

「…マニキュアの色、変えた?」

「…あ、気がついた?」

「あぁ、君は女性が好むピンクや紫のマニキュアを良く塗っていたからさ。いや、その色は俺の好きな暖色…、黄色だから余計にすぐ反応してしまったよ。いや、あの、君はどんな色のマニキュアでも似合うし可愛いと思います。…ごめん、久しぶりに君の顔を見れたから上手く伝えられないんだ」

エリアスはそっとモニカの指先に触れて彼女の手をぎゅうっと握る。いつ振りだろうか、温かな彼の手に握られるのは…。

モニカはエリアスの手を握り返して呟いた。

「…エリアスが好きな色にしたんだよ、あなたに会えて嬉しいっていう心の表れなのだけれど。…さすがエリアス、気がついてくれて嬉しい。私もあなたに久しぶりに会えてその、とても嬉しい…」

双方ともに少しだけ顔を赤くしながら見つめ合う。そして数秒後、二人は口元に笑みを浮かべながら言葉を交わす。

「モニカ」

「エリアス?」

「…朝食を食べたら、俺とお買物に行ってくれませんか?!」

「…一日中、買い物するつもりかしら?」

「…デート、してください!」

「…うん、私もあなたと一日中一緒に居たい。結婚はしていても、いつでも一緒に居れるわけじゃない。だからこの一日を大切に楽しみたいわ?」

「エスコートは…任せて!」

「楽しみにしてる、食べちゃいましょうか。久しぶりにあなたの笑顔を見ながら摂る食事はいつもより美味しい」

「それは光栄だ」

エリアスとモニカは食事を進めていく。目の前に居る大切な人は自身の変化に気がついてくれた。

これからもこの先も。

ずっとずっと、些細なことでも気が付き合ってお互いを思いやれる関係で居たいとモニカもエリアスも思っていた。