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穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

田波さんと江夏くん(片思い編)


*田波さんと江夏くん1

「田波先輩?」

「zzz…」

「疲れているんですか?まったく勤務中に居眠りなんてしょうもない人だ」


田波は江夏の先輩だ。

交番内で二人きり、春の陽気に誘われて田波は居眠りしていた。

「…風邪、引いちゃいますよ」

江夏はブランケットを田波の肩にかけてやった。

 

*田波さんと江夏くん2*


春の陽気に誘われて眠る田波の顔を見た江夏はそっと彼の頭を撫でながらぽそりと囁く。

「田波先輩、可愛い寝顔なんですね。キスしちゃいますよ?」

江夏は田波の唇に触れながらほっぺにキスを施した。

「んっ…」

田波は目を覚まさない。可愛い寝顔何だと江夏は思っていた。


*田波さんと江夏くん3*


可愛い寝顔を見た江夏も仕事に戻ろうと仕事机に戻る。

すると田波は目が覚めたのか背伸びをして立ち上がる。

「…あ、悪いな江夏。暖かくてついつい寝てた。ブランケットはお前かありがとう」

「…いえ、起きたなら良いです」

江夏は顔を真っ赤にしながらデスクに向き直る。


*田波さんと江夏くん4*


「顔赤いが大丈夫か?」

田波は顔を赤くする江夏を心配そうに見つめる。江夏は机に視線を落としたまま呟いた。

「ね、熱なんてありません」

「そうか?ならいいが」

田波はそう呟くと椅子に腰かけた。

江夏はキスしたことがバレたんじゃないか、と小さな不安にかられていたのだ。

*田波さんと江夏くん5*


赤い顔を隠すように江夏は書類を睨んだ。

そして田波も黙々と書類整理をこなす。

二人きりの交番内では沈黙が流れていた。

(困ったな…本当に…)

江夏の頭の中は田波のことでいっぱいだ。

憧れだった先輩の近くに配属されただけでも幸運だったのに。江夏は顔を俯かせていた。

*田波さんと江夏くん6*


俯いた顔を上げないまま固まる江夏を心配した田波は彼の頭を撫でて覗き込む。

「どうした?」

優しい声音で呟く田波に江夏は真っ赤な顔で呟いた。

「…何でもないです」
「何でもないなら泣きそうな顔するな!な?何があったんだ?」

田波が聞くと江夏は瞳からほろりと涙を零す。


*田波さんと江夏くん7*


「俺っ、貴方に最低な事をした…」

「何だ?…怒らねぇから言って見ろ」

江夏は涙を拭いながら田波の顔を見つめた。

「居眠り中の先輩にキスしました…」

涙で濡れた江夏の顔はリンゴのように真っ赤だ。

田波はふっと微笑んだ。

「ばーか、そんな事で怒んないぜ」

江夏の涙を拭う。

*田波さんと江夏くん8*


「何で」

江夏は濡れた瞳で問うように呟いた。

すると田波はニコっとしながら江夏の頭を撫でた。

「何でか知りたいか?」

「…教えてくれるんですか?」

「泣き止んだら教えてやるよ」

江夏はハンカチで涙を拭きながら田波を真っ直ぐと見つめる。

田波は江夏の顔に触れて行く。

*田波さんと江夏くん9*


「お前を可愛いと思ってるから。嫌ならとっくに俺はお前を嫌ってる」

「…気づいていたんですか」

「人の気配には敏感だから。で…、お前の口から教えろよ。本当の気持ちを聞かせてくれないか?」

「…俺は…」

「言えよ、優…」

江夏は声を震わせる。


「貴方が好きです…」

*田波さんと江夏くん10*


声を震わせながら漏らす江夏に田波は優しい声音で返す。

「…両思いか?」

「…え?」

「可愛くてお前に側にいて欲しいから優、お前をここに配属した。ずっと好きだった」

「…田波、先輩…」

「仕事中だからこれで勘弁な?」

田波は唇を重ねてキスをした。

そっと、優しいキスだ

触れるか触れないかのキスに江夏は驚きに目を見開いた。

あぁ、田波先輩…。

俺もあなたが好きです。

声にならない思いを抱いてキスを受け入れる。

「…優、可愛いな」

「…田波さんがそうさせたんです」

「俺の側に居てくれ。…お願いだ」

「当たり前です、田波先輩…」

二人は笑みを交わしながら瞳を細めた。

穏やかな春の陽気が優しく二人を包み込む。

暖かな太陽と、街に暮らす人々の声と笑顔。

田波と江夏はそういった掛け替えの無いものを守る存在だ。

紡がれた思いはこれからも二人を強くしていく。

江夏は思う。

(…この人の隣なら俺はずっと自分らしく居られる)

そんな風に感じて眩しげに瞳を細めた。。

*一部 完結*