穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

遠く手を伸ばした先に…

【遠く手を伸ばした先に…】


フューズは己の手を見つめながら黙り込んでしまう。自分の手は人を殺める為の道具を作る為にある手だと、上官から言われた事が傷となり、フューズの表情を翳らせる。

「フューズ…?」

無邪気な狙撃手がドラグノフを片手にフューズに声をかけてくる。フューズはそんな彼、グラズの顔を黙って見上げる。

「…グラズか?」

「あんたらしくない、暗い顔をして黙り込んでるから。機械の調子でも悪いのか?」

ドサッとグラズはフューズの隣に腰を下ろす。歳が割と近いフューズとグラズは兄弟のような関係だった。グラズの顔を見たフューズは小さく溜息をついて呟いた。

「俺の手は、誰かを殺める為の物だと言われた事を思い出していた。軍人になった頃、俺は誰かを殺めるのではなく、守る為にこの手を使いたかった。だけど俺は…」

「フューズ、確かにあんたの作る機械は誰かを殺める為の物だ。テロリストや国に仇なす者たちを殺める為のな。ただフューズ、あんた自身は違う…」

グラズはフューズの手袋に覆われた手を取りながらゆっくりと触れて呟いた。

「あんたは不器用で辛い事があっても黙ってるけど、あんたの手は俺が辛い時に頭を優しく撫でてくれる。そう、優しくて広くて大きい。俺はそんなあんたの手が何よりも好きだ」

真っ直ぐに向けられるその言葉にフューズは軍用ゴーグル越しに瞳を嬉しげに細めながらグラズの手を握り返した。

「…ありがとう」

「良いんだ、俺は本当の事を伝えたまでで…」

「グラズ」

「フューズ…?んっ…」

グラズの顔に手を伸ばしてフューズはそっと彼の唇に口付けた。ヘルメットも軍用ゴーグルも取り外された彼の素顔は端正で。寄り添う唇の温もりも、握られた手の体温も。

全てが手を伸ばした先にあったものだー・・・。

唇を離したフューズはグラズの頭をくしゃりと撫でて優しく微笑んだ。

「お前は可愛い」

「…だ、誰かに見られたら…」

「グラズ、誰かに見られた所でお前は俺の大切な奴だよ。この俺の手をしっかりと掴んでくれたお前を俺は…」

 

 

 

 

 

 

 


やがてフューズの口から洩れた言葉にグラズは透き通る瞳をゆっくりと細めて幸せそうに微笑んだのだった。