穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

胸に秘めたこと

【胸に秘めたこと】


大好きだったあいつが長年付き合っていた彼女と結婚するそうだ。嬉しそうにダークブラウンの瞳を細めながらギュスターヴは俺を見た。

「ジル…?どうした?顔色が悪いが…」

「ギュスターヴ、いや、なんでもないんだ。親友であるお前が結婚するなんてな。遅咲きの恋ほど実った時の幸せを実感することはないだろう?済まないな、ここ最近眠れてなくて…」

そう、結婚の報告を受けてから約一週間。俺は満足に眠ることすら出来ず、瞳を閉じればギュスターヴの優しい笑顔がちらついて離れない。

「何か悩みが有るのなら、教えてくれないか…?私たちは親友であり大事な仲間だ。私はジル、君のお陰でここまでやって来れたんだ。苦しい事があるのなら教えてくれ。君らしくない」

『君らしくない』、か…。

そうだな。

俺はお前が大切で大好きで堪らない、なのにお前は俺の知らない誰かと結婚して俺から離れて行くんだろう?

「なぁギュスターヴ」

「…ジル?」

「例えば俺がお前の前から居なくなったらどう思う?」

「どうしてそんな事を…」

「お前は今実際に俺の前から居なくなろうとしてるじゃないか。知らない誰かと結婚して幸せになろうとしてるじゃないか。…俺がどれだけお前のことを…」

『好き』だったか知らないだろう…??

ギュスターヴ、何でお前が泣きそうな顔をして俺を見るんだよ。泣きたいのは俺の方だよ、お前は何も分かって居ないじゃないか。

「ジル、君は私の幸せが疎ましいのか?」

「…疎ましくはないさ、だけど…」

「君なら喜んでくれると、心から祝福してくれると思ったよ。ジル、私は君を心から親友だと思っていたがそれは間違いだったか?」

「ギュスターヴ、間違いではないさ。ただ俺はお前が…!!」

「私を好きなのならどうして早く言ってくれなかったんだ?!ジル、君はいつだって自分を押し殺して本当の事を教えてはくれなかった!だからもう、私は諦めていたのに…」

ギュスターヴはダークブラウンの瞳からほろりと涙を零す。まるで乞うように私を見つめて涙を零して呟いた。

「君が私を泣きそうな瞳で見つめてくるから分かった、君は私を親友以上に好きなんだろう…?!私だってそうだ、ジル、君が好きなんだ…!」

「結婚が決まった奴が言う事じゃ…」

「…無理やり私を奪おうとは思わないのか?私はジル、君と歩けない幸せなら要らないんだ。だからお願い、君の口から本当の想いを聞かせてくれないか…?」

言ってしまったら戻れない、
伝えてしまったら後には引けない、
だけれど俺にとってはどうでも良いことで…。

「ギュスターヴ、好きだ、愛してる…、結婚なんてしないでくれ!俺にはお前だけで他には何も要らないんだ、だから頼むよ。…離れないで、側に居てくれ…」

ギュスターヴを腕の中に閉じ込めて精一杯抱き締めた。ギュスターヴもそっと腕を回してきて声を震わせて来た。

「…教えてくれて、ありがとう…、ジルの馬鹿、遅いって…」

「結婚、少しだけ待ってくれないか…」

「…破談にする、君が好きだって言ってくれたから。元々親同士が決めた結婚でね。相手にも好きな人が居るんだ。ジル、私は君を愛しているよ。ずっと秘めていないといけないんじゃないかって思っていたけどもうそれも終わりだ」

ギュスターヴは俺を見つめて涙で潤んだダークブラウンの瞳をゆっくりと細めながら弧を描いていった。

それが合図なら、
それがお前の答えなら、
俺は心からそれに答えたいんだ。

「…ギュスターヴ、好きだ、愛してる…」

薄い唇に指を伸ばし、触れて口付ければギュスターヴは身体をぴくりと揺らして答えてくれた。

これがお互いの秘めた思いの答えなら。俺たちはずっと抱え込んでいたのかもしれない。

大好きだ、
愛してる。

もう離してはやれない。

大切なお前を、永遠に。