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穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

恋と君と思いの三角形

【恋と君と思いの三角形】

1.始まり


「ルーク」

凛と響く声は相棒であるドクの声だ。ルークは射撃場で銃を仕舞いながら相棒の顔を見てゆっくりと微笑んだ。

「どうしましたか?」

「もう終業か?…時間が有ったら一緒に帰らないか?」

ドクとルークの自宅は比較的近い。レインボー部隊でも宿舎暮らしでは無いのはルークとドク、この二人くらいだろう。

ルークはニコリと微笑みながら頷いて呟いた。

「良いですよ、今日は歩きなんですけど大丈夫ですか?」

「構わないさ、たまにはゆっくり話しながら帰るのも良いだろう?ほら、銃を仕舞って帰ろう」

「はい、少しだけ待って下さい」

ルークの双璧はゆっくりと弧を描いてドクを見つめた。ドクはルークの瞳を見て頰を赤らめる。

通称『ドク』、ギュスターヴ・カテブは『ルーク』、ジュリアン・ニザンに片思いをして毎日を過ごしていた。

 

 

「お、もう少しで君の住むマンションだ…」

「あれ!本当ですね、ドク、色々とお話ししながら帰るのが久しぶりで新鮮でした。また一緒に帰りましょうね」

「あぁ、君が良ければ」

「…あなたはたまに寂しそうに笑うけど、何か悩みが有るのなら相談して下さい。俺は相棒なんですから!」

『相棒』

その言葉にドクは少し胸を締め付けられる思いに駆られながらダークブラウンの瞳を細めながらルークを見つめた。

「…ほら、風邪を引くからエントランスに…」

「ドク、また明日…」

「あぁ、またな」

ドクは名残惜しそうにルークに背を向けて帰路を急ごうとする。しかしもう少しだけ彼の顔を見たい。そう思ったドクは一度だけルークを見るために彼が居るマンションのエントランスを見つめた。

「…ルー…ク…?」

ドクがルークの顔を見るために振り向いた時だ。一人の女性がルークに熱烈なキスを仕掛けていた。

唇を離したその女性はドクに気がついたのか、ルークの手を掴んでドクの方に近付いてくる。

「…坊や、私と君のキス、軍医さんに見られたわね」

「…ミラさん…!」

「エレナ・マリア・アルバレス、『ミラ』、君が何でルークのマンションにいるんだ…」

ドクは声を震わせながらミラを見つめる。ミラはゆっくりと微笑みながらドクを見つめて呟いた。

「このマンションに私も越してきたのよ?偶然よ。…ドク、そんなに私を睨まないで?私が坊やにキスしたのがそんなに嫌だった?」

「…ミラさん!ドクは関係ないだろう?!…ドク、すいません。不愉快な思いを…」

「ミラ、君はルークが好きなのか?」

「どうしてそんな事を私に聞くのかしら」

「…恋愛関係でも無いのにキスをするのがおかしいからだ。不愉快だ…」

ドクが声を震わせればミラは再びルークの唇を強引に奪いキスをする。ルークの瞳は見開かれ、やがて逆らうことが出来ない人形のようにミラのキスを受け入れてしまう。

 

唇を離したミラは挑発的な視線をドクに向けて吐き捨てるように言葉を漏らす。

「あなたは何もかも遅いのよ、ドク、彼は私の物。あなたには譲らないわ?奪いたいのなら全力で来なさいな」

「…不愉快な女性は嫌いだよ」

「坊やは私の玩具だからあなたには譲らない。ふふ、楽しい攻防戦の幕開けよ…」

ドクとミラの間に何とも言えない視線が絡み合う。絡み合うそれは恋の三角形を描く線のようにはっきりとぶつかり合う。

三人の関係は始まりに過ぎない。ドクはルークを思い、そしてミラはルークを弄ぶかのように。

ゆっくりと動き出す恋の関係はようやく始まりを告げたのだった。