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穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

終わりない明日

【終わりない明日】

 

果てない荒野が見えるその丘に私は居た。

白衣にアサルトスーツという異色の出で立ちだが、着用している白衣は私の負った怪我が原因で真っ赤に汚れていた。

「あぁ、私のイメージカラーは白なのに」

ハンドガンと簡単な医療器具が詰まったカバンを持ちながら私は敵兵から逃れてきた。

任務に就いた国で紛争が終わり、平和の為の条約が結ばれた朝。

私は医師団の人間として最後まで国内に残っていたのだ。

しかしスパイだと過激派から疑われた私は手負いの状態になりながらも必死に逃げてきたのだ。

抵抗した時に撃たれた傷が思っていたよりも酷く、真っ白な白衣は真っ赤に染まっていった。

このまま逃げ場がない私はどうしたら良い?

崖の下に飛び込めば良い?

分からない、分からないんだ。

終わりない明日を迎えるにはどうしたら良い?

…答えなんて一つしかないだろう?

果てない荒野が見えるその丘の真下、私は覚悟を決めて足を一歩踏み出した。

真下は川で運が良ければ生きていられるだろう。

血で汚れた白衣も、
バンに詰まった医療器具も、
マガジンの入ったハンドガンも。

全て此処に置いていこうか。

私は最後まで善良なる医師であったのだろうか。

か弱き者に手を差し伸べて、温かな光を見せることが出来たのだろうか。

…私には出来なかったのだろう。

だからこそ私はスパイだと疑われ、そして身体に傷を負って此処に居るのだろう。

「さよなら、終わりない明日に夢見る者たちよ」

一歩踏み出して堕ちていけば後は思うことなんてなかった。

あぁ、私は最期まで。

結局最期まで後悔しかなかったんだ。

堕ちていく中で頰を伝っていく涙に思いを馳せていく。

次に目を覚ます時にはどうか。

終わりない明日を望める側に居れますようにと願いを込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

水の冷たさが、心地良かった。