穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

憧れが恋になる

【憧れが恋になる】

テルミット×イェーガー


自分より年下のブリーチングマンであるテルミット、ジョーダン・トレイスの手を見るたびに俺は思う。

「お前の手は…何だ、立派な手だな」

包帯を巻いているジョーダンは視線を手に向けたまま言葉を漏らす。

「そうか?…イェーガー、あんたの手に比べたら俺の手は爆発物や火薬でボロボロだよ。毎日包帯を取り替えないと行けないくらいにはな。…所であんたが医務室に居るなんて珍しいな」

「…あぁ、服用している頭痛薬をドクから受け取ろうと思って来たんだが居ないから待ってるんだ。お前は包帯を取り替えに?」

「まあそうだな、これは俺の日課だからな。イェーガー、あんたとはあまり任務で一緒になる事がないから二人きりってのは珍しいな」

「…そうだな」

工兵である俺は主に人質の防衛作戦などに従事する事が多く、突入作戦などの攻撃を専門とする攻撃チームと手を組む事があまりない。

その中でも特にジョーダンに俺は密かな憧れを抱いていた。自分自身より歳下だが厳格でしっかりと仕事をこなすジョーダンを見ては胸が痛くなる。

…そう、憧れなんかよりも複雑な気持ちなのだ。

「イェーガー、あんた顔が赤いが熱でもあるんじゃないのか?」

「へ…??」

「おでこ出せ、熱があるか確認してやる」

ジョーダンの新しい包帯で綺麗になった手を俺の額に付けて熱を計ろうとした。

「ね、熱なんてねぇっ…」

「だったら顔を赤くするな、俺はFBIの中でもこんな性格だから他の連中の面倒を見てるがあんたを放って置けないんだ、察しろよ…!」

「…だったら手を離してくれ」

「大人しく、体調が悪いと認めたら額から手を離してやる」

「分かった、分かったから…!」

きっとジョーダンは俺がどうして顔を赤くしているかなんて分かっては居ないんだろう。

俺が体調悪いことを認めればジョーダンは潔く手を離し、俺の目を見つめて小さくため息を漏らす。

「…あんた、もう少し食えよ。工兵であったとしても戦場で体力が無いと仲間に迷惑をかけちまうだろう」

「食ってるよ、煩いな…」

「はは、あんた可愛いな」

「お、男に向かって可愛いって馬鹿なのか…?!」

「顔が赤くて怒りっぽくて華奢なイェーガー、あんたが可愛いって言ったんだ。ドクはしばらく戻らないぞ、大人しく寝てろよ、側に居てやる」

「子ども扱いするなっ…」

「確かに俺の方が歳下だ、だけどあんたが心配なんだよ。ほら、一緒に寝てやるから横になれ」

ジョーダンは俺の首手を掴んで無理矢理医務室のベッドに俺と共に潜り込む。

もう全てがぐちゃぐちゃで、よく分からない。頭痛のせいでいつもより思考回路が鈍いのだ。

「寝ろ、あんたが寝付くまで側に居てやるから」

「…お前は…馬鹿だ…」

「体調悪そうなあんたを放って置くほど俺は冷たくはない。…いや、あんただから放って置けないんだ」

「意味が、分からない…」

「今は考えるな、ほら、寝ろ…」

ジョーダンの手が優しく俺を撫でる。心地良い手の体温と彼の匂いに安心したのか睡魔が俺を襲う。

穏やかな温かさに包まれながらゆっくりと意識を手放して行ったのだった。


***


抱き締めながら眠るあんたの華奢な身体に触れながら考えた。

「俺はあんたが好きなんだよ、イェーガー」

眠るあんたには聞こえない、届かない声を己の口から漏らしてイェーガーの頭を撫でて唇に触れる。

憧れなんかよりも複雑な気持ちなんて、とうの昔から自覚して居たんだ。

あんたより歳下で、俺はブリーチングマンだから接点なんか何一つなくて。

だけど俺はあんたに憧れ以上の思いを気がついたら抱いていたんだ。だからこそ俺は…。

 

 

「…触れたくて仕方がない」

眠るあんたの唇にそっと自身の唇を重ねて触れていく。一回だけの戯れだ、今はただ。

今はただ、この歯痒い関係のままでもいい。俺はいつかあんたを自分自身の物にして見せるから。

憧れを凌駕した思いは恋になる。