穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

get lover

【get lover】

*【恋と君と思いの三角形】スピンオフ第二弾。第一弾の【名付けるなら】と繋がってます。

 

***

 

夜、隣に住む貴女の部屋を俺は緊張しながら訪ねていた。朝食に誘って貴女が俺の前から逃げ出して約三週間後のお話である。

「ミラさん…」

いきなりキスをされ、ミラさんは逃げるように俺の前から居なくなってしまった。

どうしてそんな事をしたのか、真面目に考えても考えても答えは出てこなくて仕事中もミラさんのことが頭から離れなくなってしまったのだ。

マンションの部屋は隣同士だし、所属する部隊も同じなのにここ三週間、彼女とまったく顔を合わせて居ないのである。

手土産にケーキを買って俺は彼女の部屋のインターホンを鳴らす。

「…夜分遅くにすいません、俺です、ルークです」

『…ルーク?ゴホッ、ゴホッ…何か用?』

「話がしたくて来たんですが…また改めて…」

『っ…!ちょっと待ってて…』

咳き込みながらドアを開けて出迎えてくれたミラさんを見るのは約三週間ぶりの事だった。


***

 

「体調悪かったんですか…?」

「…少しね」

「夜分遅くにすいません、手短に済ませますから」

「ルーク、夜遅くに女性の部屋に手土産を持って来るなんてまったく。で、話って何よ」

ミラさんは真っ直ぐと俺を見つめながら呟いた。久しぶりに聞いた彼女の声と瞳に心と胸が締め付けられていく。

「三週間前、貴女が俺にキスをした事覚えてますか」

「っ…、それがどうしたのよ…」

「ずっと考えていたんです、どうして貴女がそんな事をしたか」

「…考えるだけ時間の無駄じゃない…」

「三週間、ずっと考えていた俺の時間を無駄だったなんて言われたくは無いし、何より俺はずっと答えを探していたんです…」

「見つかったのかしら、君が言う答えは…」

「見つかりましたよ、ミラさん、俺の目を見て」

俺はミラさんの手を取りながら彼女の瞳を見つめた。透き通る瞳は僅かに震えていて、俺を見るミラさんの手も僅かに震えていた。

「…見たじゃない、これで満足かしら」

「ミラさん、俺と貴女は出逢ってまだ間もないし俺は貴女より子どもだから頼り甲斐が無いかも知れない。だけど俺は貴女の事をもっと知りたいしもっと好きになりたいと思った。…貴女と恋をしたい。俺を見てくれますか?」

一世一代の告白をするつもりなんてなかったし、するとも思ってはいなかった。それでも俺は貴女と出逢った時に貴女に惹かれていたんだ。

ミラさんは俺を見つめながら困った笑みを浮かべて呟いた。

「…私は坊や、君より歳上だし人を簡単に信じることはできないんだよ。あの時確かに私は君にキスをした。私の初恋は君だから。だけど罪悪感から君に会いたくなくてずっと避けていた。ルーク、それでも君は私と恋をしたいのかしら」

困った笑みを幸せな笑顔に変えられるのなら、人を信じられない貴女に本当の幸せを与えられるのなら。

俺は貴女と…

 

 

 

 


「ミラさん、貴女と恋に堕ちたいです。初めてのキスは貴女からでしたね、次は俺からしても良いですか?」

「風邪、移るよ…」

「貴女から貰った風邪なら歓迎ですよ、ミラさん…」

彼女を己の腕の中に閉じ込めて抱き締めながらゆっくりと唇を這わせていく。ぴくりと震えた身体をぎゅうっと抱き締めればミラさんも背中に腕を回して俺を抱き締め返してくれた。

あぁ、俺は貴女と共に恋に堕ちて行くんだ。

二人きりの部屋でようやく出た答えに俺は安堵を覚えながら静かに流れる空気に身を沈めていったのだった。