穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

祝・アクセス18000over 記念作①

スモークとミュートのお話。

【見えない愛】

 

ベッドに横たわるSAS最年少、マーク・R・チャンダーは身体を起こして天井を見上げた。

あれ、おかしい…。

何で俺の瞳に光が…。

 

レインボー部隊に召集されてから就いた任務の中で一番最悪な任務が終わってから約一週間。

生死の境目を彷徨っていたマークはようやくベッドの上で目を覚ます。同僚であるサッチャーは目に涙を浮かべ、先輩であるスレッジも安堵した表情をマークに見せていた。

「…あの馬鹿は…」

マークが目を覚まして発した一番最初に洩らした言葉は『あの馬鹿』という言葉だった。

彼の相棒であり、大切な存在であるスモーク、ジェームス・ポーターがその場には居なかったのだ。

マークと共に敵地に潜入したはずの彼は何処へ行ってしまったのだろうか。

サッチャーとスレッジの顔をマークは見つめながら呟いた。

「…スモークか?」

「ああ、あの馬鹿はどうした…」

その言葉にサッチャーとスレッジは唇を噛み締めながら無言になる。マークは二人の様子を見て呆れたように言葉を放つ。

「…生きているか死んでいるかすら分からないのか」

「ミュート、スモークは…」

「スレッジ、俺から話す。ミュート、良く聞け…あいつは…」

サッチャーの口から漏れた言葉に、マークはベッドの上で自身の瞳がきちんと光を感じ、風景を見られる理由を理解した。

そして彼は瞳から一筋の瞳を流しながら唇を噛み締めていた。

 

***


「なぁドク先生」

レインボー部隊の拠点があるヘレフォード基地の中にある医務室でジェームス・ポーターはGIGNの軍医、ドクに声をかけた。

「…どうした」

「マークの…ミュートの意識は戻ったのか?」

ジェームスの言葉にドクはゆっくりと口を開きながら言い返す。

「あぁ、彼は無事に目を覚ましたそうだ」

「…良かった」

「スモーク」

「何だよ」

「君はその、もう二度と…」

「俺のことはどうだっていいだろう?…ミュートが無事であいつが生きているならそれ以上の幸せはねぇよ」

ジェームスは自身の瞳に巻かれた包帯に触れながら呟いた。

一週間前、マークと共に潜入した敵地にてジェームスはマークを庇って瞳に怪我を負った。

…マークを救う為に、自身の命をかけて戦場で彼を庇ったジェームスは両目の光を失ってしまったのだ。

「ミュートはきっとこの事を知ったら…」

「あぁ、責任感は誰よりも強いから自分を責めるだろうな。だけど俺は自分自身で、自分の意志であいつを庇った。だから俺の目ん玉二つくらいであいつの命が助かったのなら問題ねぇよ」

「…この先どうするつもりだ」

ドクの言葉にジェームスは口元に笑みを浮かべながら呟いた。

「…例え瞳に光が戻らず見えなくても、俺はマークを愛し続けるさ。見えるだけが全てじゃない。な、そうだろう?」

ジェームスの言葉にドクはただ黙って頷いた。もう二度とジェームスの瞳に光が戻ることはない。

だけどジェームスとマークを繋ぐ絆と愛は光すら凌駕するものであるとドクはジェームスの言葉を聞いて思ったのである。

…見えることが全てではない、見えない愛も尊いのだとドクはジェームスの包帯を変えながら涙を流して頷いたのだった。