穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

日常の話❸

【日常の話】❸

モンターニュ×ドク

『海辺で伝えたいこと』

 

非番が偶然ギュスターヴ・カテブと重なったジル・トゥーレは彼を連れて海に来ていた。

二人きりで海に行くのは初めてで、ギュスターヴが何故か車を運転して近くの駐車場に車を置いて二人で海岸沿いの砂浜に座っていた。

キラキラと輝く水平線と夕焼けのコントラストが調和して綺麗で儚い輝きを生み出していた。

そんな輝きにギュスターヴは眩しそうに目を細めて遠い遥か彼方を見ていた。ジルはギュスターヴの横顔を見て彼に声をかけてのだ。

「どうだ?…綺麗か?」

ジルの言葉にギュスターヴは視線を彼の方に向けて微笑みを浮かべながら言葉を返す。

「こんな近くに綺麗な海岸が有るのを私は初めて知ったよ。夕方にまさか海に来るなんて思ってなかったしね。私に話が有るんだろう?ジル、何か大事な話だから恋人である私をこんな所に呼び出したんだろう?…何でも聞くから」

ギュスターヴは真っ直ぐとジルを見つめる。彼のダークブラウンの瞳には一つの曇りもなく、ただただジルを真っ直ぐと見つめていた。

ジルはギュスターヴを見つめてぽつりぽつりと言葉を漏らして行く。

「…なぁ、俺たち付き合い長いだろう?もう恋人関係を築いてからそうだな、十年近くは経つかな」

「そうだね、十年近く前に君の不器用な告白を聞いたあの当時は驚いたけど嬉しかった。喧嘩だってするけどちゃんと仲直りだって出来るし。私はあの時の告白ほど嬉しいことはなかったよ」

「…ギュスターヴ、俺たちはいつ戦場で命を落とすか分からない。俺もお前もそれは覚悟の上で毎日を過ごしている。いつお前の笑顔が見れなくなるか正直怖いんだ」

ジルはギュスターヴの顔に手を伸ばした。そんな彼の手をギュスターヴは愛しげに触れながらも言い返す。

「ジル、君は自分よりも私や仲間を心配する。だけど私だって同じ気持ちだってことは分かるよね?…私は軍医だ、より沢山の命が失われて行くのを見て来たから君の気持ちはよく分かるよ。…だけど先が見えない未来より、今ここで君と笑っている時間の方が私にとっては大切なんだ」

「…あぁ、そうだよな」

「ジル、私は君を愛してるからどんな時も君の悩みや辛さを分かち合いたい。勿論、幸せや楽しいこと、全部全部君と分かち合いんだ。だから悩む事なんて何も無いだろう?」

その言葉を聞いたジルはギュスターヴを強く強く抱き締めて彼を己の腕の中に閉じ込めた。

「…お前の言葉で決心が付いたよ、ギュスターヴ…」

「決心って、大袈裟じゃないかい?」

「ギュスターヴ」

「どうしたの??」

 

 

 

 


「俺の側に、俺の隣にずっとずっと居て欲しい。例え死が二人を別つ時が来ても俺はお前以外を愛するつもりはない。此処に誓う。…ギュスターヴ、愛してる」

ギュスターヴから少し身体を離し、ジルは彼の手をとって懐から小さな箱を取り出して中身を薬指に嵌めたのだ。

「…指輪…だ…」

「プ、プラチナだ…!お前にはそれ以外似合わないから…」

「ねぇ、ジル…」

「…どうした…?」

ジルがギュスターヴの顔を見れば彼のダークブラウンの瞳からは大粒の涙が溢れ落ちて行く。その涙を拭いながらジルは彼を再び抱き締めた。

「…今までで一番幸せだよ、ジル…、私は今のままでも十分自分には勿体ないくらいの幸せを君から貰っていたのにさ。こんなのズルすぎる…、ジル、こんな私で良ければずっと君の隣に居させて。君の隣以外、私の居場所は無いから…」

「ギュスターヴ、本当にお前は泣き虫だな」

「嬉しいから泣くのは構わないだろう?…ジル、これからも私は自分の命より国民の命を優先してしまうし何より誇りを持って仕事をしている。だけど絶対に君を置いては逝かないとこの指輪の輝きに誓うよ。こんな私を愛してくれてありがとう…」

「…馬鹿、こんな俺の不器用なプロポーズを受け入れくれてありがとう。一生守ってやる。だから俺の側から離れるな、約束しろ」

「…うん、約束する」

ジルは抱き締めながらギュスターヴの唇を指でなぞりゆっくりと彼の唇に自身の唇を重ねて行く。

ギュスターヴもそれを受け入れ、やがて瞳を静かに閉じて行く。一生の誓いを交わした二人を穏やかな潮風と波音が温かく見守っていたのだった。