穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

主夫しているミュートくんが可愛い件について。


「…おい、忘れ物」

「毎日悪いなっ!もう少しで大会近いから体力付けないといけないからお前の弁当、ありがたい。ありがとうな」

「ついでだ、……にやけるんじゃない。まったく…」

これは朝の日常的なやり取りだ。SAS隊員のミュートとスモークはひょんなことから同じ部屋で暮らすようになった。彼らは戦いの時には相棒として背中を守り合い、プライベートでは恋人同士でもある。

「よし、行ってくるわ。お前は非番なんだよな?行ってきますのハグしてくれ!」

玄関でスモークはにこやかな微笑みを浮かべて腕を広げて待ち構えていた。ミュートの表情には僅かながらの照れが浮かんでいるではないか。

ミュートはスモークをぎゅっと抱き締めてぽつりと呟いた。

「…気を付けて行ってこい。遅くなるなら必ず連絡を寄越せ。夕飯の仕込みがあるからな」

「早く帰ります、じゃあよろしくな」

スモークはキラキラと輝く瞳をミュートに向けて軽く頬に口づけを落とす。玄関から出ていったスモークの背中をミュートはまじまじと見つめて言葉を漏らす。

「心臓に悪いんだ、あんたの口づけは…」

ミュートは少しため息を漏らしてキッチンへと戻る。


***


キッチンへ戻ったミュートは冷蔵庫の中を見てスモークのためにどんな夕食を作ろうか模索していた。彼は軍のボクシング大会が近いため、栄養の整ったミュートの作る夕食を大変美味しそうに食べるのだ。

(そうだ、あの人は日本食が好きだから肉じゃがにでもするかな…)

仕込みが比較的早く出来、尚且つ冷蔵庫には丁度、賞味期限間近の肉やジャガイモ、玉葱などが消費出来る優れた食品なのだ。

とりあえず圧力鍋に材料を切って入れ、適当に煮込めば出来上がりである。味噌汁やお米と言った食品をミュートは日本からわざわざ取り寄せをして、スモークのために愛情を込めて夕飯を作っているのである。

「…早く帰ってこい。…寂しいだろ」

キッチンで圧力鍋に火をかけながらミュートはぽつりと呟いた。スモークとはSASに入隊した時から特別な関係ではあった。

無表情を浮かべることにミュートは慣れていた。しかし、スモークは正反対の性格でいつも陽気な笑顔を浮かべていたのだ。そんなミュートは彼が大好きなのだ。

尽くしてしまうくらいに。

(…余計なことを考えてしまったな。少し休むか…)

朝からスモークへお弁当を作ったり、夕飯の用意をしていたミュートは疲れてしまったのか圧力鍋の火を消し、ソファに横になる。

…温かな、ふわふわとした睡魔がミュートの意識を遠くへと押しやっていった………。


***

大きな手が、彼の頭を優しく撫でていた。ふわふわとした意識が徐々にはっきりとした物へと変わっていく。

(…あれ、眠っていたのか……)

気がつくと、スモークがミュートを膝枕してニコニコと笑顔を浮かべていた。

「…ただいま、思ったよりも早く帰って来れたからさ。…ってお前、なんつー顔してんだよ?」

「…うるさい、寝起きだ」

ミュートは起き上がり、スモークの身体に思いっきり抱きついたのだ。

「積極的だな、お前…」

「…寂しかっただけだ、馬鹿。夕飯ならすぐに用意できる」

「せっかくだし、早めに頂くかな」

スモークはミュートから離れ、イスに腰かける。圧力鍋の前にミュートは立ち、お碗に肉じゃがをよそう。

そして味噌汁と白い白米も準備して夕飯の用意は全て終了だ。

「…待たせたな」

「旨そうだな、頂きます」

ミュートは心配そうにスモークの顔をまじまじと見つめてしまう。スモークは肉じゃがを口に含んで飲み込んだ瞬間、笑顔をミュートに向けた。

「ありがとう、旨い。練習頑張ったかいがあるわ。…やっぱりお前のこと更に好きになった。…惚れ直した」

「…は、そうかよ……」

「弁当も毎日ありがとうな、助かってる。ミュート、顔赤いぜ?…可愛いな」

「あ、あんたが恥ずかしいことを言うからだっ!…くそ、ムカツク」

「まあまあ、これからも頼むぜ。俺の【生き甲斐】だからな。お前の作った食事を食べて、一緒に生活を共にするこの時間がな」

「…分かったよ…」

向かい合わせで座り、大切な人と過ごす時間はかけがえの無いものだ。

穏やかな時間が二人の間に流れていた。