穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

ある冬のお話


【ある冬のお話】

 

 

雪が散らつく真冬の、深夜12:00。
日付は変わって、12/25。

穏やかな寝息を立てて眠っているイェーガーの側には不審な男が一人、小さな小箱を一つ持って佇んでいた。

(…起きるなよ、イェーガー。お前が起きたらこの作戦の意味が無くなってしまうからな…)

真っ赤な衣装に、白い髭を生やした男はバンディット。イェーガーの恋人で40過ぎの悪戯好きな愉快な人間だ。

クリスマスだからと、イェーガーが寝静まったのをいい事にバンディットは彼に『悪戯』を仕掛けることにした。

(…起きてびっくり、びっくり箱ってな。プレゼントを置かせて貰うぞ!絶対に起きるなよ?)

イェーガーは一度眠れば、朝までは絶対に起きないことを、悪戯好きなサンタクロースは知っていた。

「お前の喜ぶ顔を見る為に俺がどれだけ苦労したことか。明日の朝、起きて驚いた顔を見せろよ?…メリークリスマス」

イェーガーの閉じられた瞳の下に軽く口付けをしてバンディットはリビングへと戻る為に寝室を後にした。

 


翌朝。

「…ん、何だこれ」

朝起きがけにイェーガーは枕元に置いあった小箱を訝しげに見つめた。

(…何々、『開けてびっくりびっくり箱。これを開ければあなたもハッピーメリークリスマス!』…あいつの悪戯か?まぁ、良いか。乗ってやる)

今日はクリスマスの朝。
窓の外を見つめれば辺り一面が銀世界なのだ。

イェーガーが小箱を開ければ、定番のびっくり箱。『悪戯成功!』のメッセージカードが現れた。しかし、イェーガーは箱の奥底にあった、それまた小さな箱に気がついた。

「やけに綺麗に包装されてるな、開けてみるか」

バンディットは悪戯好きな性格で、子どもっぽい所も持ち合わせてるからこれもまた、悪戯の一種かもしれない。

小さな小箱の包装を開ければ、
そこにはシルバーの輝きを放つ一つの指輪が嵌められていた。

「…意外にロマンチストな奴。手の込んだクリスマスプレゼントだな」

箱から指輪を取り上げて薬指に嵌めれば、イェーガーは満足そうにその輝きを見つめた。

 

 

リビングに行けば、バンディットはテレビを見ており、背中の気配に気がついたのか振り向いて笑っていた。

「びっくり箱、驚いた?」
「すんげぇびっくりしたぜ、お前の悪戯もたまにはロマンチックだな」

イェーガーはバンディットの隣に腰を下ろして窓の外を見つめて笑顔を向けた。

「…雪、積もってるな。後で雪合戦しようぜ。悪戯のお礼に遊んでやるよ」

「んー、それも嬉しいけど。先にこっちを貰う」

バンディットはイェーガーの頭を、自身の顔へ引き寄せて唇を奪ってしまう。

 


「ご馳走様、イェーガー」

唇を離せば、バンディットは満足げに目を細めてイェーガーの頭を優しく撫で回す。

「この悪戯っ子め」

俺だってお前にプレゼント用意してるんだからな。

ま、それは今日中に渡してやるからさ。

 

 

二人は子どものような、無垢な笑みを交わしながらクリスマスを1日楽しんだ。

これはある冬のお話ー・・・

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