穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

唯一相棒が遺してくれたもの

【唯一相棒が遺してくれたもの】


死んじまったあいつが息を吹き返すことはなく、俺は数十年前に自身の腕の中で息を引き取ったドミニク・ブルンスマイヤーの事を思い出していた。

「俺ももうジジイだよ…」

窓際を見つめながら俺はあいつの事を思い出していた。数十年に発生した大戦にて俺とドミニクはレインボー部隊として共に戦場にて戦いに明け暮れていた。

血の匂い、そして次々と倒れていく仲間、そして凶弾がドミニクの身体を貫通して行った所を俺は今でも忘れられない。

「…最期までお前は笑っていたよな、『泣くなよ相棒』なんて誇らしげに言っておいて。簡単にお前は逝っちまった」

数十年も前の話だが、俺は欠かさず毎月ドミニクの墓参りをしている。今も昔もきっとお前は空の上から俺を見つめて笑っているんだろうな。

 

「お祖父ちゃん!」

「…あれ、早いな…。もうお前たちが遊びに来る時間か!」


なぁ、ドミニク。

俺は今、可愛い子どもと孫に囲まれて幸せに暮らしてるよ。もう俺も六〇過ぎちまった。

お前と交わした言葉も、
お前と育んで来た愛も、
全ては遠い昔の事かも知れない。

…だけどお前が隣に居てくれた数年間、それは俺にとってかけがえのない宝物なんだ。

あと数十年、お前のいる所には行けないかもしれない。だけど少しだけ待って欲しい。

 


ドミニク、俺はお前が大好きだ。

ずっとずっと愛してる。

お前が俺の命を助けてくれた。

お前が居てくれたから今の俺が在るんだ。

 

「お祖父ちゃん、僕の名前を呼んで?いつもみたいにかっこ良く言って見て〜〜!」

足元に寄って来た孫を俺は抱き上げながら口を開いた。あぁ、俺は本当に…。

駄目なんだよ…。

 

「…ドミニク!男らしくなれよ!」

「うん!お祖父ちゃん大好き!」

 


…大好きなあいつの名前を孫に付けてしまうくらい、俺はお前を忘れられない。

 

 

 

 

 


『イェーガー』

『なんだよ!』

『俺の名前、呼んでみてよ』

『…バンディット』

『それはコードネームだろ?違う、俺の本名!』

『…ドミニク?』

『やっと呼んでくれたな、マリウス。…愛してる』

 

 

END.