穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

あんたはズルい人

【あんたはズルい人。】

「泣いているのか?」

「…僕に近寄るな!あんたみたいにヘラヘラしてる奴に何がわかる?!」

手には妖怪ドローン、近くには傷付いたパーツの山が転がっているではないか。

エコーの側に近寄って来るのは同僚であるGSG9のバンディットだ。

「そんな冷たいことを言うな、俺はお前が心配なんだ。エコー、俺ならお前を守ってやれる。どうする?」

飄々とした態度でバンディットはエコーを見つめて呟いた。

「…見返りか?」

エコーは瞳に涙を浮かべながらキッとバンディットの瞳を睨みつけた。

その様子にバンディットは特に動じず、話を続けていく。

「そんなもん、いらないさ」

エコーの顔を覗き込みながらバンディットは黒々とした瞳を細めてる。

そんな様子にエコーはため息をついて呟いた。

「あんたが欲しいのは僕か、バンディット?僕は簡単には人を好きにはならない。信用なんて尚更しないぞ」

その言葉を聞いたバンディットは細めていた黒い瞳を更に細めていき、弧を描いて言い放つ。

「俺が欲しいのはお前自身の気持ちだよ。辛いことがあるのならきちんと頼れ。独りは辛い。エコー、俺はお前が心配でずっと見ていたから。…エコー、俺は見返りなんて求めてはいない」

「…あんたは善人か?」

訝しげな表情をバンディットに見せながらエコーは彼の瞳を見つめた。

やがてバンディットはエコーの身体を自身の腕の中に引き寄せて囁いた。

「いいや、俺は狡い男だよ、エコー」

バンディットは引き寄せたエコーの顔を見つめながらそっと彼の赤い唇に自身の唇を重ねて行く。

「んっ…、んぅっ…」

つうっと一筋の涙と共に、エコーの口の端からは銀の糸が垂れて落ちて行く。

バンディットは指でエコーの涙を拭いながらキスを繰り返していく。

まるで乞うように。

エコー自身に乞うように。

離された唇は官能的な赤で少しだけ濡れていた。

「俺は狡い奴だ。エコー、お前が心配だったから最初は興味本位でお前を見ていた。だけどだんだんお前自身を見るようになっていた。俺の特技は人の懐に入ることだよ。なあ、お前の気持ちを俺にくれないか?」

「い、いきなり過ぎるっ…」

手に持っていた妖怪ドローンはカタカタと震えていた。

「じゃあ、お前が好き。これでも不満か?」

「っ…、順序が逆じゃないのか?!」

「まったく注文の多い子だな、お前は」

エコーの頭をぽんぽんと撫でたバンディットはニコリと微笑んだ。

「な、なんだよっ…!」

「エコー、お前が好きだ。俺に気持ちも心も、お前自身も全部くれませんか?一生かけて守ってやるし愛してやるよ」

バンディットの言葉に一瞬無表情になったエコーはすぐさま顔を真っ赤にして呟いた。

「僕は僕を一番に見てくれない相手なんかいらない!…僕を一番に好きで居てくれるのか?」

「あぁ、もちろん」

「…毎日、抱き締めてくれないと怒る」

「喜んで抱き締める!」

「…僕の全部を見てくれるのか?」

「俺に二言はない」

「っ…バンディット…!」

エコーはバンディットにぎゅっと抱きついて広い背中に腕を回して呟いた。

「…僕、あんたになら全部あげてもいいよ。バンディット、もう一回キスをして?」

あれ、さっきまでのツンツンなエコーはどこに…?

バンディットはエコーの身体を抱き締め返しながら口元に嬉しそうな笑みを浮かべて彼を包み込んでいく。

触れていく唇の体温と、優しく包み込まれていくバンディットの温もりを感じるためにエコーは瞳を閉じていった。

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