穴龍の里

穴龍がr6sのSSをupする欲望の吐き捨て場。

small・last・night!

small・last・night!

 

 

(….最悪だ、何でこうも部隊の中で一番明るい人と同室なんだよ…、一人部屋が良かったなぁ…)

日本から来たばかりのエコーは同室のブリッツの背中を見つめて小さな溜息を漏らす。

 

 

もともと、一人部屋の予定だったのに自分が入る筈の部屋が老朽化が進み過ぎて、とても暮らせる状態では無かった。

そこで二人部屋に一人で暮らしているブリッツの部屋にエコーは暮らすように司令官から言われたのだ。

…一人が好きなのに、どうしてこうも正反対な人と生活しないと行けないんだろうかー・・・

エコーは何度目か分からない溜息をついてしまう。そんなエコーの様子に気がついたブリッツは、手招きをしてソファーの隣に座るように促した。

「エコー、溜息をつくと幸せが飛んじゃうぞ?何か悩みが有るのなら…」

「…っ、馴れ馴れしくしないで下さい!僕は一人が良かったのに、何でっ…、」

頭を撫でようとしてくれたブリッツの手を振り払い、エコーは涙を浮かべながらブリッツの顔を睨みつける。

振り払われた手を見つめて、ブリッツはエコーの黒い瞳に視線を合わせて哀しげな笑みを浮かべた。

「そんなに俺が嫌いか、エコー?確かに君は日本から来たばかりでホームシックになっているのかも知れない。だけど俺は君ともっと仲良くなりたいと思っているんだ…。迷惑だったか?」

あぁ、また僕は歩み寄ってくれる人を傷つけてしまったんだ。

エコーは唇を噛み締めながら、瞳から涙をポロポロと流してわんわん子どものように泣き出してしまった。

「エ、エコー?困ったなぁ…」

ブリッツはいきなり泣き出してしまったエコーの肩を抱き寄せて彼が泣き止むまで共に時間を過ごしていったのだ。

 


「落ち着いたかな?」

ブリッツはテーブルにマグカップを置いてエコーに差し出した。立ち込める湯気は日本にいた時から良く飲んでいた緑茶の匂いと共に、エコーの鼻腔をくすぐっていく。

「…あ、ありがとうございます…」

緑茶の入ったマグカップをエコーはブリッツから受け取り、一口、口に含めば心がゆっくりと落ち着いていくのを感じ取る。

…しかし、何故ドイツ人のブリッツが緑茶何て持っているのか。エコーは少しだけ疑問に思ってしまう。

不思議そうにマグカップを見つめるエコーの頭をブリッツは優しく撫でてやった。

「何で俺が日本の緑茶の茶葉を持っていたのか不思議なんだろう?ふふ、理由は簡単だよ」

ニコリと微笑んだブリッツはエコーを優しく見つめて呟いた。

「君が俺と同室になるのをずっと楽しみにしていたからなんだ。日本から来るオペレーターと仲良くなりたいってずっと思ってたんだよ。勿論、他の仲間も君たちを歓迎しているんだから。エコー、日本から遠く離れてはいるけれど、此処にいる仲間たちは仲間であり、家族みたいな関係だから…、何かあったら必ず俺たちを頼っていいんだよ」

エコーの心の中には優しくて温かく、そして穏やかな気持ちがゆっくりと流れていく。

「ブリッツさん、溜息ばかりついてごめんなさい。あと、さっきも手を振り払っちゃってあなたを傷つけたかも知れない。僕、あまり人と仲良くするの得意じゃなくて…。だけど、同室がブリッツさんで良かった。これからもどうか、宜しくお願いします」

エコーは今までに見せた事のない笑顔をブリッツに向けてくる。

(ー・・その笑顔は、反則だろっ!)

ブリッツはエコーが向けてくる無邪気な笑顔に何故かときめきを感じてしまう。

これはやばいな…。

冷静になれ、俺。

 


エコーはただただ穏やかな笑顔を浮かべて緑茶を飲んでいく。マグカップには茶柱が一本、ぽつりと立っていた。

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